【炎上エンジョイ!】

おもちゃはおもちゃの扱いを受ける。Vol.1

2019/07/03

村本大輔

吉本の芸人が事務所を通さず勝手に営業活動をし、その先が反社会勢力であるという理由で相次いで無期限活動休止になっている。俗にいう闇営業というやつだ。問題は事務所を通さない営業活動ではなくその相手先が反社会勢力だったということが大きい。個人でやるから結果反社会勢力を引き当ててしまう、だから事務所を通すことはリスクを減らすことになる。でもなぜ事務所を通さない営業をしてしまったのか、今回の理由の1つに一発屋芸人が多いことがある。一発屋芸人は世の中の流行りにある意味、もてはやされた人。おもちゃのように流行り翌年おもちゃのように捨てられ、流行った年の莫大な税金を仕事がない翌年に支払わないといけない。芸人が一度売れるのに極貧の貧乏生活が続く。スーパーの割引お惣菜生活からやっと抜け出しポルシェに乗る。ある種のドリームだが、生活の基準が一度上がったらなかなか元には戻せない、テレビは新作か安定が好きだ。コンビニのポテトチップスでも塩とコンソメは残るがあとは次々入れ替わる。だからテレビに出なくなった芸人は舞台や営業をやる。しかし舞台も営業の数も限られているし毎年、下から新しい芸人は現れる。そうなれば舞台難民の芸人が増える。芸人は生活のため、家族を食わせるために自分で仕事を取ってきてる。最初のうちはそれを事務所のマネージャーにまわすが、吉本には約6000人とも言われる芸人がいてマネージャーは1人につき何組も芸人を抱えている。だからマネージャー達はその芸人が自身で持ってきた仕事の対応をするはずなんだけど、クライアントへの連絡が遅れ、先方から怒られ断られることがよくある。それでしょっちゅう、芸人がマネージャーに怒っているところをみる。芸人の気持ちもわかる、会社が仕事取ってこないから自分で社長と仲良くなり仕事をもらい自分の事務所に回したら、事務所がきちんと対応せず、相手を怒らせ仕事がなくなり、自分が謝る。これでは芸人が怒るのも当たり前だ。しかしマネージャー達の苦労もわかる。芸人を抱えすぎなんだ、ほかの事務所はタレント一人につきマネージャーが一人というとこもある、忙しいすぎるマネージャー達はこの働き方改革の時代に深夜まで働いてくれている。しかしもう一度、芸人の立場になるが、芸人は社会の保証がない、社会保険も厚生年金も払ってもらってないしボーナスも有給もない、仕事があるかないか、だ。これはもう社会の一員ではない、社会の一員にしたければ社会の一員としての給料形態にしないといけない。独り身のおれはいいがほかの人間は家族を作り食わせないといけない。ましてや自分がとってきた仕事を事務所に回してもきっちりやってくれなかったり、自分が仕事をとってきて自分で先方と連絡をとって、吉本に一言いれたとしても何パーセントかマージンを取られると事務所と芸人の間で信頼関係がなくなり、そこでワンステージ1万でやってる芸人にワンステージ10万と言われれば食いつく。相手の会社も吉本さんを通すと倍はかかる、お互いWIN-WINということで、その仕事を受けてしまう。だけどそれで反社会勢力と繋がってしまったら、自分の事務所、ひいてはほかの芸人のイメージも落としてしまうことにもなる。僕も過去に親父の友達の社長さんから営業の声がかかって会社に仕事を回したが、あまりの高額のために払えないと言われたことがある。やはり父親の顔をたてたいからネタをやってあげたい、しかし吉本を通すと吉本価格になる。しかし勝手にはできないから仕事はなくなった。朝鮮学校の関係者がうちの学校でやってくれ、とオファーがきた、子供達におれの独演会をやってほしい、と。しかし高額で払えなかった。今回この話をしたのは芸人達ばかりがメディアで叩かれてる。本質は芸能界の存在を考えることにあると思う。この構造の身からでた錆だとしたら錆を落としても同じ身からはまた錆がでる。闇が暴かれれば更なる闇に潜るだけかも。吉本は、芸能界は紳助師匠の件でわかっていたはずだ。
つづく

村本大輔(むらもとだいすけ)
おおい町出身。2008年位結成したお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」のボケ担当。賛否両論のコラム「炎上エンジョイ」は、日々URALAにて継続することが決定! ツイッター

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