【炎上エンジョイ!】
2019/07/03
吉本の芸人が事務所を通さず勝手に営業活動をし、その先が反社会勢力であるという理由で相次いで無期限活動休止になっている—。
芸人として、芸人側も批判をさせてもらうと、あの件は「タレントを呼ぶと言うことでまわりにいい格好ができると思って鼻の下を伸ばしたやつら」と「少し顔出すだけで大金がもらえると鼻の下をのばした芸人たち」がお互いニヤニヤしながら引き合わされただけの薄っぺらい付き合いにしか過ぎない。芸能人とセックスしたいだけの女とセックスして、芸能人とセックスした、とまわりに言いふらされるようなもの。芸能人が名前を売るだけで金をもらう、売名だ、名前を売って金をもらったならその名前をまたほかに転売されてもしょうがない。イメージでCMで大金もらった芸能人がイメージが悪くなりCM降ろされて捨てられるのも同じ。そこには、たかだかそれだけの関係性しかない。安いおもちゃは安いおもちゃなりの扱いを受ける。だからこそ自分の芸に誇りを持って芸人をやるべきなんだよ。昔から違和感はあった、まわりの芸人がどこかの社長達と飲むだけでお車代がもらえると言ってホイホイその場に行っていた。あの社長がケチだ、とか、あの社長はお金くれると言って、安っぽいことをしてるやつが沢山いた。おれは芸人至上主義だ。芸を金で売る芸人が一番かっこいいと思ってる。
おれはCOWCOWの多田さんを尊敬してる。多田さんは過去にある有名歌姫から知り合いを通して、誕生日会で、あたりまえ体操をやってくれ、とオファーがあった、他の芸人はその歌姫を生でみれる、お金もらえるんでしょ!と羨ましがった。しかし多田さんは「その人はおれの誕生日にも同じ額で目の前で歌ってくれるのか」とバッサリ断った。あの人は芸人至上主義だ。
今回はこんなことになったけどくまだまさしさんもすごく尊敬している。あの人は自分の娘さんの幼稚園に行き、父兄集めて無料でネタをした。ブルマを履いた父親がでてきて、大爆笑をかっさらい、そして、娘は翌日から幼稚園の人気者になった。くまだまさしさんはいつも舞台上にネタの道具箱を置き、その中から小道具を取り出しすごくバカバカしいネタをする、ブルマをはいたハゲたおじさんが若い女の客の悲鳴があがるなかいつも全力で笑いをやる。あのおじさんは絶対お客さんに毎回プレゼントを渡す。そして、いつもその開いた道具箱の後ろ側には、娘の写真を貼り付けている。彼も大きなものを背負っている。
村本は庇いすぎだとも言われる、おれは世間の知らないことを知ってるだけ。おれの論点は世間とは違うかもしれない、おれの論点はおれの視点だ。世間の視点とは違うのは当たり前。みんな各々視点がある。この話はおれの視点を差し上げただけ。おれの視点は、闇だろうと反社会勢力だろうと、芸人なら芸で稼げ、あんな場で酔っ払いの集まりで誰かのための賑やかしで芸を売るな。目先のものになびくな。芸人は芸人しかできないから魅力的だ。しかしなんでもマルチにこなすようになってきて、名前が売れて金をもらうと名前を売るだけで金がもらえる芸のないただのタレントになっていく人が多い。吉本のお笑いの会場には、毎日、何百人というお客が来る。その中には振込詐欺で稼いだ金で来るやつも、汗水垂らして働いた金を握りしめて来るやつも、少ない年金をはたいてくるやつも、親からのお小遣いにぎりしめてくるやつも、もしかしたら、その親が振り込め詐欺で稼いだ金を小遣いとして渡してその金できてる子供も色々いるかもしれない。金の出所なんかわからない。なんばグランド花月や ルミネtheよしもとには毎日沢山の笑いたい人がきている。僕らは何者であろうが笑いたい人をそこで笑わせる。おれはここ数年ずっと芸能人の前で漫才をやる番組は断ってる。どんな大物でも可能ならそこに芸能人がいない別の日で撮ってもらう。あの時間はおれたちだけの時間。おれたちの独壇場。だれかの誕生日パーティーの盛り上げ役で金もらうなんか芸人のやることじゃない。落ちぶれてもやらない。ちゃんとした場所でちゃんと笑いを求めてるお客さんとのガチンコ勝負。そこには確かに大金はもらえないかもしれないが、なんの後ろめたさはなく、芸人とその芸を楽しむお客さんとの健全な時間だけが存在する。金や名誉で繋がるんではなく、笑いで繋がり合うその時だけは心はいつも穏やかだ。まあ漫才と独演会みにきたらそれがわかるよ。続きはライブで笑いに仕上げて。また。
村本大輔(むらもとだいすけ)
おおい町出身。2008年位結成したお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」のボケ担当。賛否両論のコラム「炎上エンジョイ」は、日々URALAにて継続することが決定! ツイッター