【気象予報士 二村千津子の風と雲】

気温だけじゃない。暑さの質を知る「指数」に注目。|気象予報士 二村千津子の風と雲

2022/08/02

こんにちは。
気象予報士の二村千津子です。

8月が始まりましたね。今年は6月の終わりが猛烈に暑くて、7月は、なんだか梅雨が戻ったような日が多くなりました。7月の終わりが近づいてから、ようやく「真夏らしい」日が増えてきましたね。

今回は、読者の方からいただいた、暑さに関する質問にお答えします。

一つめは福井市のjimmyさんから

「夏になると、よく不快指数を耳にします。この指数はどのように算出するのか教えてください。」

という質問をいただきました。ありがとうございます!

確かに、耳にしますね。わたしも、日々の予報で、「不快な暑さになりそうです」という時があります。不快指数は、その日の空気が人間にとってどの程度不快に感じるかというのを数字で表したものです。

不快指数の計算式は、ちょっとややこしいのですが、
不快指数=0.81×気温+0.01×湿度×(0.99×気温-14.3)+46.3という計算式になっています。例えば、気温が32度、湿度65%の空気と、気温35度、湿度40%の空気だと、不快指数は前者の方が高くなります。つまり、気温だけではなく、どのくらい湿気があるのかも加味されています。

NHK気象ハンドブックによると不快指数が70を超すと不快感を持つ人が出始め、75を超すと半数以上、80を超すと全員が不快に感じる、となっています。

不快指数と同じような指数で、より熱中症に注意を払ってもらうために環境省が発表している指数に「暑さ指数」というのがあります。暑さ指数はWBGTとも言われ、湿球黒球温度=Wet Bulb Globe Temperatureのことを表しています。温度なので単位は℃です。気温との違いが紛らわしいのですが、暑さ指数は、①湿度②日射・輻射熱③気温、あとは風なども考慮されて計算されているので、不快指数より複雑です。

熱中症環境保健マニュアル2022をもとに作成

去年から本格的に運用が始まった「熱中症警戒アラート」という情報があります。ニュースなどで耳にした方も多いと思います。夏の期間、気象庁と環境省から発表されるのですが、この情報は、暑さ指数がもとで発表されます。基準は対象の地域のどこかのポイントで暑さ指数が33℃を超えたところがある時です。

つまり、上記の暑さ指数のレベルをみると、31以上で、危険=運動は原則中止というレベルですが、31や32という予測では熱中症警戒アラートは発表されません。さらに危険度が高まった時に発表されます。それだけに、熱中症警戒アラートが発表されるということは、普段、体力や暑さに慣れている自信がある人でも熱中症にかかる危険があると思ってほしいくらいの危険度だと思ってください。

最新の3か月予報によると、今年は残暑が長引く可能性があります。ひと夏の間に、そうそう発表されることはない情報ですが、この情報が出た時は、「めっちゃ注意が必要」だと思って、特にご家族やまわりに、ご高齢の方やお子さんがいらっしゃったら、体調の変化にはくれぐれもお気を付けください。

私は暑さも大きな気象災害の一つだと思っていて、毎年「熱中症ゼロ」を目標に、「大丈夫と思っているあなたが一番心配です」ってお伝えしています。でも、熱中症で運ばれる方が必ずいらっしゃいます。ですから、このコラムを読んでくださった皆さんは、日々の熱中症情報などを参考に、ぜひとも熱中症を他人事と思わず無理のないようにお過ごしください。

二つめは、坂井市三国のキス釣り大好きさんから

「”二村さんはたまに三国に遊びに行くとのこと、とってもうれしいです。これからも三国のことをずっと好きでいてください。さて、GW中の新聞に、温暖化対策が不十分なら、福井の気温は21世紀末に4.4度上昇するという記事がありました。もしそうなったら福井はどんな世界になるのでしょうか。いちほまれも栽培できなくなるのかな。私が好きなキスは釣れなくなるのかしら。食べ物の話ばかりでしたが、どんな福井になるのか、ふたさんの想定を教えてください。では。”」

ありがとうございます。三国、大好きなんです。車を持たない私にとってえち鉄で行けるサンセットビーチは一番の憩いの場と言っても過言ではありません。

さて、温暖化に関する質問は、今回1回でお伝えしきれないとは思うのですが、ご質問の内容の、21世紀末の福井について、少しお話します。確かに、最新の気候変動のリポートによると、21世紀末、福井の気温が4.4度上昇する試算になっています。

現在の福井市の年の平均気温が14.8度です。プラス4.4度というと19.2度。現在の鹿児島の年平均気温は18.8度なので、シンプルに考えるといまの鹿児島くらいになる、と言えます。つまり、マンゴーやパッションフルーツなどの栽培が盛んになったり、地酒が芋焼酎に変わるかもしれません。

また、魚に関しては、海の温暖化の影響のほか、海流の変化などにも左右されるので一概には言えませんが、すでに日本海でとれる魚にも変化が生まれつつあります。

「さわら」は2000年以降、福井近海で漁獲量が急増しています。そして、へしこやなれずし、浜焼きなどでもおなじみの「サバ」は2000年以降、大きく減りました。温暖化が、その原因の一つと考えられます。キスの生態には詳しくなくて申し訳ないですが、今後も獲れる魚の種類が変わる可能性は十分に考えられると思います。

温暖化へのおもな対応策として緩和策と適応策という2つの対応策があります。

緩和策というのは、少しでも温暖化の進み具合を緩やかにして、気温の上昇を抑える対策。適応策というのは、上がってきた気温に対して、対応していくということです。例えば、お米の改良をして、暑さに強いお米を開発することなどです。それから、養鶏などでも、エサなどを工夫して、熱中症にかからないように対応すること、などです。あとは災害に備えることも適応策の一つです。

適応には時間がかかりますが、緩和は、一人一人がきょうからでもできることがあります。歯を磨くときに水道の水は止める。使っていないコンセントは抜く、ごみを減らす、などなど。「そんなことで?」と思われるかもしれません。確かに、現状の温暖化のペースを考えると、私たちができることなど、焼け石に水なのかもしれません。でも、だからと言って「どうしたって温暖化はストップできないんでしょ。だったら、面倒なことはせん方がいいわ」とは思っていただきたくないのです。悔いのないようにしたいですよね。

地球温暖化に関しては、また、折をみて、お話したいなと思うことはたくさんあります。今回、きっかけをくださったキス釣り大好きさんありがとうございました。

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※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ



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