【ハナ金 夜ふかし倶楽部】

鯖江の切削加工技術が生み出した! デジタルを超えるアナログの新たな音世界「AT-ART20」|Audio-Technica (オーディオテクニカ)

2022/08/05

今年4月に『Audio-Technica(オーディオテクニカ)』より発売されたデュアルムービングコイル(MC)ステレオ型のレコードカートリッジ「AT-ART20」。
圧倒的な情報量や解像度を持ち、演者の呼吸や演奏が響き消えてゆくアウトロまで、一音一音を大切にしながら音のつながりも滑らかに表現する。 楽曲のジャンルを問わずリアリティのある音場を余さず描き、圧倒的な音の表現をもたらす、レコードプレイヤー用のカートリッジなのだ。

AT-ART20 価格33万円

ハウジングにはチタニウムを採用し、今までのカートリッジにはない美しい有機デザインも具現化。制作には鯖江市の眼鏡産業で培われた高度な切削加工技術や研磨技術が活かされている。



実は当初、他の方法での製作を予定していたが仕上げが思う通りには至らなかった……。そこでチタニウムの切削や鍛造、表面加工などを行なう7社による企業連合「チタンクリエーター福井」に白羽の矢が立ったのだ。

製作に携わったのは「(株)西村金属」「(株)ニッセイ」「(有)服部製作所」の匠たち。

左から/(株)西村金属 坪内義久さん、(有)服部製作所 服部祥也さん、(株)ニッセイ 酒井朋樹さん

チタニウムは強度が強く、工業製品の金属の中で“最も優れた材質”と言われるとともに、加工が難しく「難削材」とも呼ばれる。材質そのものが削りにくく熱伝導率も悪いため、研磨を行なううちに摩擦熱を持ち変形しやすいのだ。

写真左が切削加工後、右が研磨加工後

匠たちはこのチタニウムを表面のみならず、溝の部分まで見事に光沢研磨で処理。さらに高度な切削技術を掛け合わせて限界まで肉薄化することで、大幅な軽量化も実現。元のデザインを損ねる事なく……、いや、それ以上の美しい仕上がりに。
そして「AT-ART20」が奏でるサウンドを、越前市にある『オーディオテクニカフクイ』の音響室にて実際に体感。

高音が伸びるように明るく、埋もれがちな低音も地面から伝わるように響く。ヴォーカルのさまざまな声質も聞き分け、音量が小さくても表現力を保ったままで再生できる。弾けるような情調や鬼気迫るような描写など、音源に合わせた感情表現も得意とする。 立体感や広がりのある音は、まるで演奏を目の前で聴いているかのよう。

全く同じ音源をCDで聴き比べもしてみた(使用するアンプやスピーカーはアナログ再生時と同じ)。CDは録音時に、ある周波数帯域を超える音をばっさり切り離す特性を持ち、しなやかなアナログレコードの音に対してディテールがくっきりと聴こえる。 そもそもCDとレコードでは録音方法・再生方法も異なり、一概にどちらが良いとは言えないのだが。



CDは音源をデジタル化する際に、音のゆがみやノイズをカットし調整する。そのため、クリアに音が聴こえるとされるCDの方が良さそうだが……。 しかし「レコードの方が絶対に音が良い」というファンが多いのには訳がある。レコードは録音時の音やゆがみがそのまま残るのだが、逆にこのデジタルではカットされてしまうゆがみの部分こそが耳に心地よく残る。ある周波数帯域を超える音をカットするCDより、音をなだらかに減衰させていくため、より自然で臨場感のある音を奏でる。

過去にオーディオテクニカより販売されたレコードカートリッジのシリーズ

ただし、このCDの音質を超えるには「AT-ART20」などの高性能なレコードカートリッジや針、アンプ、ケーブルやスピーカーまで、しっかりとした再生環境を整えねばならないが、ここまで揃えれば現在デジタルの最高峰ともうたわれる“ハイレゾ”の音質にも勝ることもあるという。

鯖江のチタン加工技術が生み出した、美しいフォルムのレコードカートリッジ「AT-ART20」から奏でられる異次元級のサウンドをぜひ体験してほしい。

オーディオテクニカフクイ
【住所】福井県越前市戸谷町87-1
【お問い合わせ】0778-25-6700(代表)
【HP】あり
※購入は福井県の各レコード店などから


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