【気象予報士 二村千津子の風と雲】

冬の日本海はなぜ荒れる?鍵を握るのはやはり「風」ことしも風に注目です|気象予報士 二村千津子の風と雲

2023/01/01

明けましておめでとうございます。
2023年が始まりました。
今年も「風と雲」よろしくお願いします。

さて、先月は嶺北を中心にたびたび雪が積もりました。前回のコラムでホワイトクリスマスになりそうですか?と質問をいただきましたが、嶺北では真っ白な所が多くなりましたね。その質問を下さった「クリスマスソングといえば山下達郎」さんのもう一つの質問にお答えします。改めて、質問内容を。

勝山市 ニックネーム:クリスマスソングといえば山下達郎 55~64歳 男性

「今年のクリスマスは24.25日と土日ですね。孫たちに何をプレゼントしようか迷っています。それはさておき、今年も大雪になりそうでしょうか? ホワイトクリスマスですか? 
そういえば、大雪になるならない、花粉が多い、多くないなど割と前から予想が出る場合が
ありますよね。あれはなにをもとに予想されているのでしょうか。また、やはり確率としては週間予報などより落ちてきますよね。どうなんでしょう。教えてください。よろしくお願いします。」

今年の冬は雪が多くなりそうか。という予報もコンピューターが計算してだされる「数値予報」という資料を基に発表されています。

気象庁のHPでも閲覧することができる1か月予報資料の一例

ただ、厳密にいうと、大雪になる・ならないという見通しではなく、例年と比べて、雪の量が多くなりやすいかどうかを「確率」で表しています。というのも、1か月先までの天気や気温を日ごとに予想することはかなり困難です。天気予報はあくまでも計算によるもので、先になるほど誤差が大きくなっていくためです。そのため、過去30年間のデータをもとに「平年値」を求め、平年より高い(多い)か低い(少ない)かの確率を計算します。

先月22日発表の1か月予報

例えば、先月22日発表の1か月予報をみると、向こう1か月の気温の見通しは、平年より低い確率が50%、平年並みが40%、高い確率が10%となっています。これからわかることは、1月は平年より暖かい日は少なそう・・・というざっくりとした傾向を把握することができます。気温に関しては、1週目、2週目、3~4週目と少し細かく傾向を知ることができます。1か月を通しての見通しなので、例えば、平年より雪の量が多くなる確率が高いと言っても、雪の降る日数が多くて、じわじわと降雪量が増えるのか、何日かに渡って大雪が降って降雪量が増えるのか、ということまでは把握することはできません。ただ、この先1か月は、「特に注意を要する事項」のところに期間の前半は降雪量がかなり多くなる可能性がある、と記されているので、1月上旬までは雪の降り方に注意をする必要がありそうです。精度に関しては、日々の天気予報や週間予報の場合は、予報通り、降水があったかとか気温がどのくらいズレがあったかで精度を評価しますが、長期予報の場合は、その1か月(または3か月)の実際の平年並み・高い(多い)・低い(少ない)の割合がどうだったかで精度を評価するのでどっちの方が精度が高いか低いかを比較するのは少し難しいです。

次に花粉が多い、少ないの予想は、民間の気象会社がだいたい秋になると、一報を出してきます。花粉の飛ぶ量は、前の年の夏の暑さに関係があることがわかっています。また、表年、裏年があるとも言われています。

福井県HPより

福井市の平成19年から令和3年までのスギ花粉の飛んだ量のグラフをみると、顕著にわかるのが平成21年から平成26年まではたくさん飛んだ表年と飛ばなかった裏年が交互になっています。そのごは令和元年に突出しているほかは、はっきりとわかりません。去年(令和4年)は裏年に当たったのですが花粉の総飛散数は前年よりもかなり多くなりました。今年は表年にあたる上に、去年の夏の気温は福井では過去2番目に、敦賀では過去3番目に高くなったので、セオリー通りなら、今年の花粉の飛ぶ量は昨シーズンより多くなる傾向なのかな…となります。ただ、民間の気象会社さんによっては、昨シーズンより少なくなりそう…と見通している所もあります。気象会社さんごとの独自の算出方法があると思われます。花粉が飛び出すタイミングのカギを握るのは、1月以降の気温次第。ただ毎年2月20日前後には飛び出すことが多いので、花粉症の方はシーズンに入る前に対策を取っておくようにしたいですね。

そして、今回は、もう一つ、新たにいただいた質問にお答えします。

小浜市 ニックネーム:鯖街道ウルトラマン 35~44歳 男性

「10月中頃に旅行で高浜町にいきました。すると夏場は海水浴でにぎわっている美しい海水浴場でたくさんのサーファーが波乗りを楽しんでいました。サーファーの方もよく宿泊するという民宿の女将に話を聞いてみると、毎年9~11月は県内外から多くの方が訪れるということでした。海水浴をする人がいなくなってサーフィンしやすいというのは分かりますが、そもそも海の景色が全然違っていました。というのも明らかに波が高い!荒天ではないのに!夏場はあんなに穏やかなのに。これはなにが原因なのでしょうか。そういえば、冬の日本海は荒れている、というイメージですが単に気温が低くなるから、なのでしょうか」

ありがとうございます。これは風向きの変化によるものが大きいと思います。毎年10月にもなると、日本付近はたびたび西高東低の冬型の気圧配置になることがあります。上空の寒気はまだそこまで強くなくても、大陸から季節風が吹きやすくなります。向きとしては海から福井県に向かって吹く風なので、波もこちらに向かって押し寄せる形になります。

冬の天気図
撮影日:2021年2月23日

一方、夏は南から高気圧に覆われることが多く、風もそこまで強まらない上、福井県から海に向かって吹いていくので比較的穏やかなことが多くなります。

ただ、冬の日本海でも穏やかでそれはもう夕日がきれいな日もあるんですよ。

撮影日:2022年2月11日

今年も風の変化を感じとって、仕事に生かしていけたらな、と思っています。どうぞよろしくお願いします。

↑画像をタップ!

※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ Twitter



日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!




#コラム#連載

  • ツイートするツイートする
  • シェアするシェアする
  • 送信する送信する