【世界から発信! ふくい人滞在記。】

[世界から発信in台湾②]旅行者では体験できない行事“収涎 ”!

2019/08/01

こんにちは!台湾在住の北川千尋です!

今回は、台湾で伝統的に行なわれているある行事についてご紹介したいと思います。前回も少しお話しましたが、私はこちらで結婚し、今年の3月に娘を出産しました。そしてその娘が先月の6月で4ヶ月を迎えました。この生後4ヶ月という時期が実は台湾の「収涎 」という行事を行なうタイミングで、日本では「お食い初め」にあたります。日本では時期としては生後100日を迎えた頃ですが、台湾では生後4ヶ月を迎えた際に行なわれ、親戚一同が集まる大切な行事となっています。

日本では、鯛や赤飯、お吸い物などの料理5品ということや、男女で器の色が決まっていること、「歯固めの石」があるなどすごく伝統的な感じがしますが、台湾の「収涎 」はそれほど形式ばってはいないかなと思います。それでは詳しくご紹介していきます!

北川千尋

まず、穴の開いたクッキー(枚数に決まりはありませんが、伝統的には12枚もしくは24枚)をひもに通し、赤ちゃんの首に掛けます。本来は丸い形で中央に穴が開いているだけのシンプルなクッキーが使われますが、最近では色々なデザインのアイシングクッキーを使うことも多く、カラフルで見栄えも可愛くなっています。中にはドーナツを使う人も。今回私が用意したものの中に、ネギや鶏肉の絵のクッキーがありますが、これらは赤ちゃんに対する願いが意味としてあります。ネギは「賢い子に育ちますように」、鶏肉は「衣食に困らないように」といった感じです!

北川千尋

そして母親が赤ちゃんを抱っこし、親戚の大人たちが赤ちゃんの首から下がるクッキーを1枚ずつ割り取って、それで赤ちゃんのよだれを拭い、健やかな成長を祈る言葉を掛けます。そのクッキーは言葉をかけたあと大人たちによって食べられるのですが、直接よだれを付けずに、拭う仕草だけしてもOKだそうです。赤ちゃんのものとはいえど、よだれが付いたものを口に入れるのに抵抗がある人は多いと思います・・・笑







北川千尋

また余談ですが、この収涎で赤ちゃんに掛ける言葉の中に、「弟が来ますように」というものがあります。赤ちゃんが女の子である場合に使われることが多いようですが、次は母親が、後継ぎとなる男の子を授かれますように、という意味だそうです。台湾人の友人によれば、昔は男の子を望む人がとても多かったとか。(日本でもそういう考えはあったかもしれませんが。)今も言葉のテンプレートとしては残っていますが、その意味は昔ほど深く考えられていないようです。
この儀式の名前は「涎を収める」と書きますが、「この先この子が(食べ物に困って)よだれを垂らすようなことがありませんように」という思いが込められています。意味としては日本のお食い初めと似ていますよね◎

よだれを垂らさないようにという意味の行事なのに、うちの娘といえば、首から下がるクッキーに興味津々で舐めたくて仕方なかったらしく、口元に来るたびにモグモグしてよだれを垂らしていました。母親に似て食い意地が張ってるようです。笑 娘には日本のお食い初めもしましたが、ハーフの子供だとどちらの国の行事も経験できて良いなと感じました。 2回もお食い初めをしたことですし、この先美味しいものをたくさん食べて、すくすく育っていってほしいと願うばかりです◎

北川千尋


北川千尋(きたがわちひろ)
1990年、福井市生まれ。大学を卒業後、地元企業に就職。その後、台湾への旅行中に出会った台湾人の彼と結婚。現在台湾にて、主人と今年3月に生まれたばかりの子どもと生活。絶賛子育て奮闘中。趣味は旅行とピアノを弾くこと。好きな食べ物はお肉と肉食派。特技は「細かすぎて伝わらないモノマネ」らしい

#コラム#連載

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