【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2023/11/01
こんにちは
気象予報士の二村千津子です。
ことしは7.8.9月がウソみたいに暑くなったにも関わらず、10月は、はじめの3~4日は25度前後まで上がったものの、その後は一気に秋らしい日が多くなりました。
10月5日から24日の平均気温をいつもの年と比べると、福井県内は水色や青色となっています。平年を1度前後下回る気温の所が多いです。やや低い程度とはいえ、9月までが平年を大きく上回る気温だっただけに、体がついていくのが大変だったという方も多いかもしれません。
ただ、この先の1か月予報や、3か月予報の傾向を見ても、気温は平年よりも高い見通しなので、季節の歩みはゆっくりとなりそうです。
そんな中で、周りの人からは、「ことしの冬は大雪になるんか?」と聞かれます。
今回は、この冬の見通しについてお話します。
いま、地球規模で起こっている現象がエルニーニョ現象です。
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象は、耳にしたことがある方も多いでしょう。
エルニーニョ現象というのは、南米ペルー沖の海面水温が平年と比べて0.5度以上高い状態が1年程度続く現象です。上の図は、地球全体の海面水温が平年より高いか低いかを色分けしたものです。黄色で囲ってある部分が、海面水温を監視している海域です。赤やピンクは平年より高い様子を表しています。
気象庁では、毎月、「エルニーニョ監視速報」として、いま南米沖の海面水温がどうなっているのかを、気象庁のHPで掲載しています。10月に発表された速報によると、
赤のラインは実際の観測値、黄色い部分が今後の予測を表しています。緑のラインが平年のライン、ピンクに色塗りされている所に赤のラインがきて、それが続くとエルニーニョと解析されるわけです。
これをみると、ことしの4月からエルニーニョがスタートし、9月以降は、黄色の部分が+2度以上の領域に入っています。冬にかけて、平年より2度以上高い状態が続く見込みです。1949年以降のデータを振り返っても、2度以上高かったことは過去に3回のみなので、この大規模なエルニーニョ現象をスーパーエルニーニョと言ったりします。
前回のスーパーエルニーニョが起こった時は2015年から2016年の冬でした。この時の福井市のデータを振り返ると、1月の中頃までは雪らしい雪はほとんど降らず、正月明けに記録的な早さでウメの開花が発表されるほどでした。1月の後半に、まとまった雪が降ったタイミングはありましたが、スキー場などは営業開始の延期など、大きな影響がでていたようです。では、ことしの大雪の可能性は限りなく小さいか…?と言いたいところですが、油断できない状況なんです。というのも、ことしは、過去に例を見ないほど、日本近海の海の温度があがりました。
10月24日現在の平年との温度差をみると、
東北の太平洋側の真っ赤な部分が際立ってはいるものの、日本海側も1度から2度ほど高くなっています。少なくともこの先もしばらく、平年より高い、もしくはかなり状態が続く見通しです。
そんな中で、ひとたび、強い寒気が大陸から吹き出してくると、例年よりも日本海上で雪雲が急発達し、ドカ雪を降らせる可能性があるのです。
ざっくりいうと、大陸でキンキンに冷えた空気にとって、日本海というのはそれでなくても温かい露天風呂の上に流れ込むようなイメージです。 そのお風呂の温度がいつも以上に高いと、冷やされる水蒸気の量が多く、わんさか雪雲が発達する、というわけです。
福井市の初雪の平年日は12月3日です。前回のスーパーエルニーニョの時は、冬を通しての降雪量は少なかったですが、初雪は12月4日でした。
タイヤを変えるなどのタイミングは、雪の予報が出てきてからかと思いますが、早めにできる雪への備えは確認しておきましょう。(壊れたままのスコップとか…)
※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ
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2023/12/01
2023/12/01