【気象予報士 二村千津子の風と雲】

日々の天気現象はお饅頭の薄皮部分で起きています|気象予報士 二村千津子の風と雲

2024/11/01

こんにちは。
気象予報士の二村千津子です。

毎月毎月、前の月の暑さを振り返っている気がしますが、10月も暑かったですね…

今年の25℃以上の夏日の日数をカウントすると、10月にもどんどん日数が増えて、県内すべての地点で過去最も多い記録を更新しました。福井と敦賀の10月の平均気温は10月25日現在ですが、ぶっちぎりの1位を更新する勢いです。この暖かさを引きずったまま、11月がスタートしそうです。

さて、今回は、少し前にいただいていた質問3つにお答えしていきます。1つ目は、

越前市のたかっさん55
“今年の9月の積乱雲は7〜8月の真夏の積乱雲と同じでしょうか?
9月半ばなのに真夏みたいな積乱雲が見られるのは気温が高いからなのでしょうか?”

たかっさん、すばらしい着眼点です。雲ができる高さには季節差があります。
ちょっと理科のお勉強になりますが、地球を取り巻く大気は高さに応じて呼び名が決まっています。

地表に一番近いところから、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏です。
通常「天気」と呼ぶ様々な現象は、「対流圏」と呼ばれる大気の層で発生しています。地球の直径を1mの球に例えると、対流圏の厚さはわずか1㎜くらい。お饅頭に例えると、透けるような薄皮のようなものです。
その上の成層圏との境界を「対流圏界面」と呼びます。
この対流圏界面の高さは地域・季節ごとに大きく異なります。同じ季節でも赤道付近ほど対流圏界面は高く、北極・南極付近ほど低くなります。そして同じ場所でも夏と冬で対流圏の厚みはかなり異なります。高い時には15km、低い時には7~8kmになるんです。
この違いは、簡単に言えば「暖かい空気は膨張し、冷たい空気は圧縮される」特性があるためで、結果として気温が高い赤道付近、そして、気温が高い夏の場合は対流圏の幅が大きく、極付近や冬の場合は、対流圏の幅が小さくなります。
真夏の積乱雲は雲が成長できる対流圏界面が高いので冬よりも背が高くなります。
ことしの9月の暑さは、先月のコラムでも振り返りましたが、9月の暑さの歴史を塗り替えるような真夏顔負けの暑い9月になりました。積乱雲が真夏並みに発達してもおかしくなかったと言えそうです。
では、気温が落ち着くこれからは、雲の発達が抑えられて安心か…というとそうでもないんです。高さは違えど、積乱雲がもたらす現象に「雷」があります。北陸は全国でも有数の「冬の雷」多発地帯です。

夏の積乱雲は雲の高さが10kmから15km近く、冬の積乱雲は半分弱4km程度です。
一つの積乱雲を比べると夏の積乱雲の方が雷の数は多いものの、冬の積乱雲は雷のパワーをためて、一発ドカーンと落ちて、そのあとはしばらく落ち着いて、またバリバリ、、というパターンが多いんです。福井は、これからが雷シーズンに突入と言えそうです。

そして、つづいて2つ目の質問。

福井市のコッペさんから
“二村さん、福井からいなくなっちゃったの? 寂しいです。山歩き楽しみだったのに。また福井に来てください!それまで日々uralaの記事で我慢します。
さて、9月は秋の長雨なんて言いますが、近年はゲリラ豪雨と暑いのと交互に来て、シトシトと降る感じではないですね。「長雨」はどこに行っちゃったんでしょう? 福井はこの先秋の長雨はありそうでしょうか。できれば爽やかな秋晴れが続いて欲しいですが。”

嬉しいメッセージとともに、質問もありがとうございます。

先日も文殊山に登ってきたのですが、そのあと、こんな張り紙が掲示されていたそうです。

今月も登る予定なのがバレちゃっています(笑)文殊山は私にとって、ホームマウンテン。ご住職や常連さんとお話しすることで、元気をいただいています。

さてさて、質問についてですが、10月24日に発表された1か月予報によると、11月は低気圧や前線の影響を受けて曇りや雨の日が多く、日照時間が平年並みか少ない予想になっています。もしかすると、コッペさんの期待する秋晴れはあまり長続きせず、ぐずついた天気の日が続く時期があるかもしれません。

おしまいに3つ目の質問。

越前市のひろえもんさんから
“気圧と頭痛は関係ありますか?よく台風、梅雨、雨の日、頭痛があると言いますが、言われてみると私もそうかなぁて思ってます”

2022年の7月のコラムで気象病について少し触れたことがあります。気圧の変化で頭が痛くなったり、だるさを感じたりすることはあるようで、「気象病」と言われるようになりました。かくいうわたしも、先月寒暖差が原因で(とお医者さんに言われました)、三半規管が正常に働かなくなって、ある体勢になるとぐるんぐるん目が回る症状に悩まされました。
気圧や気温の変化は、私たちの体調に影響を及ぼすことがありますし、それが極端だと今までは大丈夫だったのに、急に具合が悪くなるということもあるかもしれません。

大切なことは、気象病かなと思ったら、無理をせず、体を休めて、リラックスをすることを心がけましょう。

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※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井県出身。気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー 2017年から7年間NHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」で 気象情報を担当。 この4月からはテレビ朝日の夕方の番組で気象ディレクターとして 気象コーナーを作る仕事に携わる。 アメブロ



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