2024/11/22
戦後フランスを代表する版画家ジャン=マリー・グラニエ(1922~2007)、グラニエと親交が深かった画家フランク・ドゥノン氏、ドゥノン氏のもとで5年間にわたって版画を学んだ福井市出身、パリ在住の画家五百崎智子さんによる3人展「戦後フランスを代表する版画家 ジャン=マリー・グラニエとその系譜展」が『越前ふくい美術館』(福井市)で開かれています。11月30日(土)まで。
これまで油彩と水彩を中心に制作に取り組んできた五百崎さん。新たな表現技法を学ぶためドゥノン氏のもとで版画を学んだことをきっかけに実現した今回の作品展について、「(グラニエの作品を)日本で見ることができる貴重な機会。純粋に造形要素を追求したという点が3人の共通点」と話しています。
今回、数千点におよぶグラニエの作品から9点を展示。ビュラン(古来の彫刻刀)を使用したクラシックな技法を用いながら「新しい表現の扉を開いた」(五百崎さん)という1950年代以降の版画作品を時系列で展示している。
生前、「金属を彫って描くことは、制約を伴い、本質的なものだけを彫るようになる」と語っていたというグラニエの1980年代の作品「街」に五百崎さんは注目。パリの街並みを描いている作品で「線に勢いがあって、街自体がダイナミックに動いているような印象を受ける。また、パリの街並みの広がりを感じられる」と言います。
また、表現に揺らぎを生み出す和紙を好んで印刷していたというグラニエ。今回、9点中6点が和紙の版画作品となっています。
ドゥノン氏は1964年生まれ。現在、パリ市が経営するアトリエで版画科の教師をしていて、五百崎さんも彼のもとで版画の基本的な技法や多彩な表現について学びました。今回の企画展では12点を展示。スケッチした風景画の中から版画のための素材を抽出し、「純粋に文学的」な表現を探求した独自の世界観に触れ、読み解く面白さがあります。
五百崎さんは32点を展示。版画アトリエ仲間だった建築家の案内で訪れたル・アーブルの建造物などから着想を得て、コラグラフィーと呼ばれる技法(紙の台紙にさまざまな素材を貼り付けて版を作る)で制作した作品を中心に展示しています。
「(版画のアトリエでは)素晴らしい仲間との出会いに恵まれ、いろいろなアイデアを吸収することができた。来年は自分の作品制作に集中したい」と五百崎さん。来年はリトグラフと呼ばれる技法を学びながら、新しい表現や作品づくりに挑戦していきたいと話しています。
『毛矢珈琲』(福井市)で「素材と色の交差展」も開催中。五百崎さんの夫で画家のミッシェル・ジョンさんの個展で、油彩画や水彩画20点を展示しています。12月5日(木)まで。
戦後フランスを代表する版画家 ジャン=マリー・グラニエとその系譜展
【会場】越前ふくい美術館(福井県福井市大手2-8-8)
【日程】2024/11/17(日) 〜 2024/11/30(土)
【時間】10:00~18:00(入場は17:30まで)
【休館日】月曜
【料金】600円、高校生以下は無料
【お問い合わせ】0776-21-7311
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