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【炎上エンジョイ!】
2019/12/26
M-1グランプリは誰かに何者かにしてほしい漫才師達が集まる大会だ。その大会で彼らに認められ優勝するということはツイッターの公式マークが付くみたいなもので、一人前の漫才師の印みたいになり、M-1チャンピオンという肩書きを名刺は漫才の出番はもちろん、メディアにも出られる。ワンステージ上の漫才師感というか、箔がつくというか。M-1チャンピオンです、というと、レストランでいうミシュランを取ったぐらいの感じで自信にもなるし、なにより、大衆はそういうのが好きだからずっと前から同じネタをしてるのに、それだけで見る目を変えて、急にチヤホヤしだす。「彼は芸人、M-1チャンピオンだよ!」そんな会話がすきな人が多い。
おれも芸人を始めた頃、誰かに「さすが芸人さん」と言われることが嬉しかった。おれは芸人の中に入ってるんだと、芸人というカテゴリーに属せているんだと。しかし、いまは芸人と言われるとモヤっとすることもある。それはおそらく自分が自分のままでいい、誰がなにを言おうが「おれはおれでしかない」と結果なにかにカテゴライズされ自分でそれに甘えて属するより個人の方が不安で自由で安心だ、と自信がついたからかもしれない。
属するというのは安心でもある。どこかにカテゴライズされれば自分が何者かわかりある程度安心できる。だから海外で日本人が活躍したら勝手に誇らしくなり、逆に日本人が悪いことをすると勝手に恥ずかしくなってる。
おれは日本に生まれたから日本人に属していて福井県出身でおおい町出身というものに属している。村本という家族に属していて吉本という組織に属していて芸人という職業に属している。たとえばあなたならおれと同じようにあなたの家族に属し、サラリーマンなら会社属し、あなたならママ友に属する。たまには同窓会に参加し学生時代の友人たちという輪に属する。
属し、輪の中にいると安心する人、窮屈に思う人。たとえばおれの漫才はセンターマイクを振り回す、あれを漫才だと世間に思われたら迷惑な人もいるかもしれないが、迷惑だと言え声を気にしてやりたい表現をやめることは窮屈だ。なら漫才とは言われなくてもいい。属して仲間と言われる安心は手に入るけど引き換えに完全な自由は奪われる。
だから、おれはあなたがいくつか持ってる、属してるその輪とうまくやる必要はないとおれは思ってる。
家族と正月大晦日お盆無理して過ごす必要はない、会社の同僚とともうまくやる必要はない。繋がりはカテゴリーの外にも沢山ある。おれは芸人よりそれ以外のほうが繋がりが多い。人の数だけ繋がれる。同じやつが同じ場所で同じもの同士で長くいるとそこの常識が当たり前になり、村になる。村は新しい考えや行動を恐れる。だから同調させようとする。村人は同調したふりをし、息苦しさに慣れようとる。そこで自由にしよう人間が現れたらそんなことを言うなら村から出てけ、わたしは我慢してるのになんでそっちは我慢しないんだ、と抑圧してこようとする。輪は大事にしなくていい。
村本大輔(むらもとだいすけ)
福井県おおい町出身。2008年位結成したお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」のボケ担当。賛否両論のコラム「炎上エンジョイ」は、日々URALAにて継続することが決定! ツイッター
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