【パルタージュ】

京都、福井での個展と夫への感謝。②

2019/05/31

『展覧会初日、台風の京都—上京区のゲストハウス前』
『展覧会初日、台風の京都—上京区のゲストハウス前』

 (京都での)初めての個展を直前に控えていた昨年8月末、案内状を配ろうと考えた私は京都に向かった。まだ残暑が厳しく、ほとんどのギャラリーは夏季休業の眠期から覚めようかという時期だったが、この時に出会った人たちはとても親切で京都のギャラリー事情や何処に挨拶に行くべきかなどを詳しく教えてくれて、とても感動した。
 こうして京都御所に近く、堺町御門に面しているギャラリーを訪ねた時のこと。ちょうど美術家の団体「国画会」の女性画家が展示を行っていて、偶然にもパリで1年同居したことがある知人もこのギャラリーで展示していたことが分かった。そこで案内状にある4点の小さな作品の写真を見せると「昨晩キャンセルがあり一週間が空いているが展示しないか」という、思いがけないオファーがあり、今年の個展へとつながった。
 その後、このギャラリーのオーナーは私たちの個展にも足を運び、いろいろと励ましの言葉やアドバイスをくれたおかげで、私はとても嬉しく前向きな気持ちになった。多くの関係者は「京都(で絵を売るの)は難しい」と口をそろえるが、やはり「世界の人気観光都市」にも選ばれたこの街は、様々な面で日本におけるパリのようで親近感を感じている。
 京都でこれまでとは違った経験をできたことは夫のおかげ、と言えるかもしれない。私が日本に帰国している間、いつもパリの自宅で留守番をしてくれている夫にも同じような経験をさせてあげたいと思っている。

画家/五百崎 智子
1971年、福井市生まれ。福井大学美術科、大学院で油絵を学ぶ。今回は歌川広重の「大橋あたけの夕立」にインスピレーションを得て構成。昨年9月の京都での初めての展覧会は初日に大型の台風に見舞われた。滞在したゲストハウスのオーナー夫人が話好きで毎晩のように話を聞いていたことも懐かしい思い出に。

#コラム#アート#連載

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