2019/12/04
とある日、日々ウララ編集部のオフィスにて。「今度の土曜空いてる?」。ほぼ「空いてるよな!」の意味合いが込められた編集長からの質問。
聞くところによると「福井県住みます芸人として活動しているクレヨンいとうさんが落語家に転身する」らしく、命名式と落語会があるらしい。
(ちなみにワタクシ、落語は好きだが、笑点で言うなら水色の小遊三師匠のようなライトな感じが好きという、長〜く浅〜く落語ファンやってます。)
ってことで、11月30日に福井市の『リライム』で行なわれた「クレヨンいとう プロ落語家転身記者会見&命名式&落語会」に行ってきました。
芸人と落語家って同じお笑いでも畑違いのようで、勝手に若干の心配をしていたのですが、
結果から申しますと……
めちゃくちゃ面白かった! 落語最高!!
そして、地元福井を想ういとうさんの熱い気持ちに触れた、そんな一日を紹介していきます。
まず登場したのは、福井県住みます芸人の飯めしあがれこにおさん。自分への拍手に「まるでチャーハンのようなパラパラの拍手」とご飯ネタをつかみに、腰にぶらさげたジャーには特技の「海苔アート」が!
さらに「飯召し上がってますか?」「召し上がってます!」のコール&レスポンスで、会場は炊き立てご飯のようなホカホカ状態に。
続いて登壇した、いとうさん。
永平寺町出身の彼は、漫才コンビ「クレヨン」として初代の“福井県住みます芸人”で活動していましたが、コンビ解散後はピン芸人に。
「福井を笑いでもっと盛り上げたい」と、イベントなどを手がけるなかで気付いたのは「福井在住のプロ落語家がいないこと」。だったら自分が!と、37歳にして弟子入りを決意したといいます。
そして「命名式」へ。
師匠である笑福亭鶴笑師匠が登場し、弟子入りの経緯を教えてくれました。
「彼がなんばグランド花月に来て、聞いたら嫁も子どももおると。どないや!(笑)」しかし、いとうさんの真面目な人柄とその熱意を感じて弟子入りを認めたそうです。
そしていよいよ、名前を発表!
その名は……
笑福亭笑生(しょうき)!
鶴笑師匠からは「笑いを生む男になれ。笑いは生きる力や」とエール。笑福亭の大看板を背負った笑生さんの新たな芸人人生が今ここにスタートしました。
そしていよいよ「落語会」へ突入です。
「生まれ変わりました笑生です」から始まり、枕の福井ネタの後に披露したのは古典落語の「たいらばやし」。おつかい先の名前を覚えられず右往左往する丁稚の定吉。行く先々でおかしなやりとりを繰り返すのですが、演じる笑生さんの顔が、だんだんと抜けてるけど憎めない定吉に見えてきます。
さすがこれまでに芸人として数々の舞台を踏んできただけあると感じました。なかなかかみ合わない笑生、いや定吉の様子に会場は笑いの渦に。
トリは鶴笑師匠の落語で締めくくります。
ネタは創作落語の「立体 西遊記」。何が立体かって、落語は座布団の上に座ってやるだけではない、小道具が飛び、ドタバタ寝転がっての大熱演に、会場は大・大爆笑の渦。思わず声を出して笑ってしまいます。こんな落語、初めて見ました!
トークでは夢を語ってくれた笑生さん。「福井を舞台にしたオリジナルの落語を創って、各地を回りたい」と言うと、「地元の民話とか文化とかたくさんあるのやから、それを掘り下げていってほしい」と鶴笑師匠。
「笑福亭一門」には、笑いに対して自由で、人を傷つけないやさしい笑いが伝統的に受け継がれているそうです。まさしくそれは鶴笑師匠の舞台そのもので、誰もが間違いなく楽しくなってしまう芸でした。笑生さんが入門を決めたのもそれが理由で、「笑いで福井を盛り上げたい」という想いと笑生さんの人柄にピッタリだと感じました。
最後に、鶴笑師匠いわく
「落語は芸でなく、人間性が出る。まずは人間を磨かなアカン」
笑生さん、落語の芸の道は長いと思いますが、師匠も認める優しい人柄で頑張ってください。そしてゆくゆく師匠となっても、質疑応答で最初に質問したワタクシを忘れないでくださいね!(笑) 福井県民みんなで笑福亭笑生さんを応援しましょう!(日々ウララ編集部・佐野)
笑福亭笑生(しょうふくていしょうき)
1982年生まれ。福井県吉田郡永平寺町出身。お笑いコンビ「クレヨン」として2011年より初代福井県住みます芸人として福井県を盛り上げる活動を開始。2016年には地元CMを作り、沖縄国際映画祭でグランプリを獲得し福井県PRに貢献。福井県を題材にした全国上映の映画「えちてつ物語」に出演。2019年笑福亭鶴笑一門入門。今後は福井県唯一の在住上方落語家として、福井県の文献や昔話を元にオリジナル落語を作成したり、上方落語の古典を福井県に広めていく。
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