月刊ウララ3月号特集『ふくいのお鮨 12軒。』から地魚お鮨をご紹介

2020/03/10

味には厳しいが人にはやさしい。

寿司割烹 与平

 北前船の寄港地として栄えた三国湊には、かつて遊郭や料亭が立ち並ぶ花街があった。迷路のような細い路地を歩くと、そこかしこに往時の名残りが見られる。その一角に建つ『与平』は明治20年にはこの地で商売をしていた文献があり、130年以上の歴史を有する。当初は魚料理の店を営み、3代目が鮨屋に転向したという。

烏賊【いか】
この日は「イカの王様」といわれるアオリイカ。イカのなかでも特に旨味が強く、ねっとりとした食感
甘海老【あまえび】
甘くとろけるような味わいが特徴の三国湊の名物。子持ち海老の時期は卵を添えて彩りよく
魬【はまち】
ブリの幼魚だけに、天然物のハマチも11~2月の寒ブリの時期が特に身がしまっておいしい
茜金時【あかねきんとき】
キントキダイの仲間。噛み応えのあるしっかりとした白身で、さっぱりとした食味のいい魚

 1階はカウンター5席とテーブル席1つの小ぢんまりとしたしつらえだが、4代目の前田幸二さんは「このくらいがお客さんとちょうどいい距離で仕事ができるんです」と微笑む。時には常連が団体で訪れて立ち食い状態になる日もあるが、みんな前田さんを囲むように集まり、家族のように和気あいあいと過ごす。この気取りのなさが店の隅々にしみわたり、何ともいえない心地よさを醸し出している。
 シャリの旨さにこだわる前田さんは、コシヒカリでシャリを炊く少数派だ。一般的にコシヒカリは鮨に不向きとされるが、炊き方や握り方を工夫して、独自の技でコシヒカリ100%の鮨を握っている。三国港でいい魚が揚がると網元が一番に連絡をくれるため、ネタもシャリの旨味に負けない上物が揃う。

馬頭鯛【まとうだい】
フレンチの食材としても有名な高級魚。淡泊で上品な味わいだが、旨味もあって食べやすい
〆鯖【しめさば】
軽めに締めて鯖の旨味を引き出しつつも、刺身のようなみずみずしさはしっかりと残している
バイ貝【ばいがい】
春から初夏にかけて旬を迎える。コリコリとした食感で貝特有の旨味と磯の香りが口いっぱいに広がる
へしこ【へしこ】
自家製へしこの旨味と塩気を大葉の爽やかな風味が包み込む。濃厚だけど後味はさっぱり

 その味を堪能できるのが「地魚コース」。手頃な値段で11種類のネタが楽しめるので初めてならこちらがおススメ。ネタはその時の仕入れによって変わるが、魚にうるさい地元っ子を満足させてきた前田さんの目利きに任せておけば安心だ。「お客さんと一緒に楽しみながら鮨を握っているから、『また来るよ』と約束してもらえるのがうれしいんです」。店主としての座右の銘は「来る人も又来る人も福の神(店に来る人はみな福を運んでくれる)」。
 だからこそ、今日の満足が次の楽しみにつながるよう、気持ちよく食べてもらえる鮨を握るのだと語る。

地魚コース  2500円
大将がその日のおすすめ11貫をおまかせで握る。港町だからお目にかかれる地魚や新鮮な魚介の旨さを味わえる

寿司割烹 与平
【住所】福井県坂井市三国町神明2-1-20
【電話】0776-82-0273
【時間】11:00~22:00 ※来店前に電話で問い合わせを
【休日】水曜
【料金】予算(1人)7000円~
【席数】カウンター5席、テーブル4席、座敷20席
【駐車場】5台
【HP】なし

前のページへ

月刊ウララ3月号(582円+税)のエリア特集は『敦賀市相生町』。また今、気になる場所・ヒト・コトをご紹介する『What’s Hot』もお見逃しなく。書店、コンビニ、通信販売で好評発売中です。ぜひご覧ください。



日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!

#エンタメ#グルメ#月刊ウララ

  • ツイートするツイートする
  • シェアするシェアする
  • 送信する送信する