「ウガンダで約2万人の生活を、人生を支えていく」福井市出身 社会起業家・坪井 彩 インタビュー

2023/07/10

社会起業家 坪井 彩(つぼいあや)
1988年福井市生まれ。藤島高校、奈良女子大学、京都大学大学院を卒業後パナソニック株式会社に入社し、人材育成プログラムの一環でウガンダへ。課金システムのガジェッドを開発し、2021年“水をくむ”意の企業『SUNDA』設立。5月15日よりクラウドファンディングを開始する。

長年解決されなかった水問題に取り組む。

アフリカ・ウガンダの各村には井戸が掘られており、村人は月々のお金を出し合い管理している。しかし家族のサイズも違えば季節によって使う量も違う。かつ、回収する村人がお金を持って逃げることもしばしば。フェアに管理することが難しく、人々は疑心暗鬼の中で生きている。

誰もが解決できなかった長年の課題に、彼女は真っ向から取り組んだ。大学で物理学を専攻したが、「物理は使うものでありたい」と、身近にある物理現象を研究する気象学を大学院にて専攻した。それまで海外に興味も示さなかったが、初めて訪れたインド・バングラディシュで”違い”を楽しめた経験が、未来の自分の道へとつながる素地となった。

入社した会社で社会課題からビジネスを考えるワークショップが開かれた際、アフリカの世界を垣間見る機会を得た。しかしビジネスモデルを考えたとしても、見てきたのはオンラインの情報のみ。誰の心にも響くはずがなく、ならば直接感じようと青年海外協力隊としてウガンダに初めて降り立った。

地方の水事務所に配属となり、そこでこれまで解決できなかった課題に直面する。これまでの申し送り事項を読み漁り、ウガンダの現状を確認し、一つの回答を出した。アフリカではモバイル通信機器は浸透しており、同時に銀行口座を必要としない、現地通貨と連動したモバイルマネーが当たり前のように使われている。この社会インフラを組み合わせ、物理学での知見を基に、水を汲みだすごとにモバイルマネーで支払う機器を開発したのだ。

製作するにあたり住民の声を聞き、使いやすい方法をヒントにしてきた。彼女は”違い”を受け入れられたから、地域に溶け込むのも早かった。信頼を得た彼女の声は、彼らの心に響いたのだ。国際協力機構(JICA)はプロジェクト推進のため50台を購入、設置された村人からは歓喜の声が上がった。

「1台あたり約300人の生活がかかっていますから、既に約2万人の生活を支えていることになります。修理も都度必要ですし、途中で投げ出すわけにはいきません」。会社を辞め、ウガンダに居を構え、彼らの生活を、人生を支える決意をする。 蛇口からの水が飲める国は世界を見渡しても数えるほどしかない。水に関する社会課題はウガンダだけではない、アフリカ全土、いや世界全土に広がっている。現代の社会インフラと生命のライフラインを融合させた装置はいつか、世界の水問題を変えていくだろう。

月刊URALA STYLE 6月号より抜粋)






日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!

#月刊ウララ

  • ツイートするツイートする
  • シェアするシェアする
  • 送信する送信する