夏の光と音がまざりあうインスタレーション空間。2年ぶり小松宏誠展|金津創作の森美術館

2024/07/31

『金津創作の森美術館』にて、モビールインスタレーションを展示する「小松宏誠展 光と影のモビール 海と歌」が開催中です。会期は8月25日(日)まで。

「海のモビール」 2023年~2024年 ©Kosei Komatsu / Sound : sawako / Photo : Shin Inaba

人工素材を巧みに用いて自然の美しさを表現する小松ワールド。今回も、ピカサス(偏光フィルム)やLIMEX(耐水性のある特殊紙)といった先端素材を使ったきらめくモビール作品が会場を彩ります。


「海のモビール」 2023年~2024年。2年前の「はるかぜ」を海と夏のイメージで再構築・スケールアップした作品

金津創作の森美術館での小松さんの作品展は2年ぶり2回目。今展では、2022年春の幻想的な展示空間とは趣きの異なる、爽やかで繊細なインスタレーション空間を体験できます。
前回と比べて、より大きく開放感のある空間を舞台とした今回の展示。小松さんは、「作品の真下に入り込んだり、寝転がってみたり、いろんな見方ができそうな場所を選びました」と話します。

高い天井を生かして、会場全体の頭上を覆うように展開された「海のモビール」は圧巻。青と紫の光を反射する約7000個のパーツが波のようにうねりながら連なり、空調や人の動きによってゆらゆら揺れる様子は、まるで海の中から海面を見上げているようです。


「雨のうた」 2019年~2023年 ©Kosei Komatsu / Sound : sawako / Photo : Shin Inaba

2022年に展示された「雨のうた」も再登場。透明プラスチックの不思議な形の円盤を組み合わせた大小さまざまのオブジェが吊るされ、不規則な速度で回転する作品です。円盤は角度によって形を変え、きらきらと降り注ぐ雨粒のようにも見えます。晴れた日には透明なオブジェに窓の外の夏の景色が映り、爽やかで美しい光景が楽しめるそう。

寄せては返す波の音や、水たまりに水滴が滴る音など、オブジェの動きに合わせて流れるサウンドも、きらめく想像の世界の構成要素の一つ。「海と水」にまつわる音が混ざり合う空間は、さまざまな環境音が有機的に絡み合う自然世界を想起させます。


「光と影の蝶」 2023年 ©Kosei Komatsu / Sound : sawako / Photo : Shin Inaba

また、別室展示の「光と影の蝶」では、昔懐かしい夏の夜の光景を演出。建材の障子ごしに揺れる白熱電球の光によって、蝶の形をした影がゆっくりと羽ばたきを始めます。暗室に静かに鳴り響くのは、古時計を思わせる振り子音。田舎の祖父母の家で過ごす夏の夜のような、どこか懐かしい時間が流れる空間です。

会場には他にも、本物の蜘蛛の巣を素材にした作品や、ガチョウやカラスの羽などを組み合わせて作った作品も展示されています。人工物と自然物が調和して存在する空間は、不思議でありながらも居心地がよく、時を忘れて浸ってしまいそう。酷暑が続く今日この頃、屋内にいながら、夏の自然の美しさやノスタルジーを目で、耳で感じることができるのもうれしいですね。

最終日には、同時開催の「淺井裕介展 星屑の子どもたち」の淺井さんと小松さんによるアーティストトークも開催される予定(8月25日14時~15時)。福井各地の土を使った”泥絵”などが展示される淺井さんの作品展も8月25日までの開催なので、両方の展示を巡ることもできますよ。

小松宏誠展 光と影のモビール 海と歌
【日程】2024/7/20(土)~2024/8/25(日)
【会場】金津創作の森美術館(福井県あわら市宮谷57-2-19)
【電話】0776-73-7800
【時間】10:00~17:00(最終入館16:30)※毎週土曜・最終日は19:00まで
【休館日】月曜(祝日の場合は開館、翌平日休館)
【料金】一般500円、65歳以上・障がい者250円
【HP】あり



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#あわら#アート

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