【麺 to the future|宗近製麺】
2020/01/31
“麺のプロ”宗近鉄也さんがお送りする麺好きのための連載「麺 to the future」。 前回は「そばの美味しいゆで方」についてお話しいただきましたが、今回は「十割そば」や「田舎そば」、そして「手打ち」と「機械打ち」など、そばに関するあれこれを教えて頂きます!
宗近鉄也(むねちか・てつや)
株式会社 宗近 専務(四代目)
1980年、越前市(旧武生市)生まれ
高校卒業後、大学進学を機に上京。大学卒業後は某企業で数多のクレーム対応に従事、約6年間勤務。その後、奈良県の製麺所に就職、約4年間勤務。32歳で実家である『株式会社 宗近』に就職、35歳で専務に就任。現在に至る。
-2019年の年越しそばから、あっという間に1カ月。皆さん、年越しそばは上手く茹でることができたと思います!(茹で方は前回参照)
昨年中は、多くの方々に当社製品を召し上がっていただきました。ありがとうございました。ところでそばには様々な製品があります。分かりやすいところでは、生麺と茹で麺、そば粉の配合割合、つなぎの有無などです。そば店では「二八そば」「十割そば」などとPRするところもあります。手打ちと機械打ちでも分けられますね。今回はいろいろなそばについて少しお話したいと思います。
-「十割そば」は“本物志向”“そば通”“美味しい”のイメージが先行されがちですが、どう思われます?
麺のプロとしては、「十割そばだから絶対に美味しい」とは断言できません。喉越し、噛み応え、風味など、そばの愉しみ方は色々あります。さらに、麺の短さや、ざらつきもそれらと同じで、店主さんのこだわりが麺の個性となって表現されているといっていいでしょう。大きい茹で釜で職人が茹で上げるそば、自宅ではなかなか表現出来ない味です。
また一方で、スーパーなどの小売店で販売されるそばも、幅広い世代から支持されています。リーズナブルな価格でご自宅でも簡単に調理でき、なおかつおいしく食べられる。要は、趣味嗜好や生活スタイルによって、一番美味しいと感じられるそばが変わってくるのです。
-自らの手打ちなら麺の太さがバラバラでも美味しいし、仲間となら無条件に美味しいと感じます。
ね、そうでしょ? まさにそういうシチュエーションこそが、その方にとっての一番美味しいそばなのです。
-そば粉の配合割合の違いを見分ける方法はあるんですか?
福井の一般的なそばは、黒っぽくてコシが強いゴツゴツした「田舎そば」です(最近はそうでないそばも増えてますね)。一方、喉ごしが良く、細くて洗練された白っぽい「更科そば」が主流の地域もあります。
色が黒いからそば粉が多い、白いから少ないのではなく、要はそば粉の使い方の問題。黒っぽいのは“そばの殻”も挽きこんでいるから黒く、蕎麦らしい力強い風味が残ります。
一方、「更科そば」は、蕎麦の実の白い部分を使うから白くて洗練された味になる。ですから、残念ながらそば粉の割合は、色では判断できないかもしれません。
ただ、はっきり言って私は、割合とか全然気にしない派で、要は美味しいと感じればOKです!
-そば粉の割合について、店舗なら聞けば分かりますが、市販品での判断は?
あまり知らないかもしれませんが、パッケージの裏側を見て下さい。
原材料の最初に「そば粉」の表示があればそば粉を50%以上使用、「小麦粉」が先であればそば粉は50%以下の使用です。ただ、そば粉が最初に表示されている商品の方が、圧倒的に価格が高いですね。当社商品でいえば、1食(つゆ付き)あたり、小麦粉が先の商品は150円前後、そば粉が先の商品は300円前後です。