【麺 to the future|宗近製麺】
2020/01/31
-わかりやすいですね。ところで“つなぎ”は、小麦粉の他には何がありますか?
山芋や卵、新潟県の「へぎそば」などは海藻の布海苔(ふのり)を使います。グルテンのモチモチ感や山芋などのネバネバ感が、そばのツルツルとした滑らかな食感を作り出しています。当社では、小麦粉や山芋の粉末を使用しています。
-つなぎを入れる理由は?
主に3つあります。
①ゆでのび防止
②食感の調整
③製麺のしやすさ
①ゆでのびについて。
“ゆでのび”とは、茹でた後に柔らかくなってのびてしまうこと。つなぎを入れたからといっても30分も経てば当然のびますが、そば粉だけの麺に比べれば伸びにくいです。
②食感の調整について。
例えば、ざらざらした麺をもう少し滑らかにしたいとか、逆にもう少しコシを出したいとか。福井ではあまり見かけませんが、ラー油などが入った辛いつけ汁で食べる「肉つけ蕎麦」などは、つなぎとして卵白を練りこみ、独特の強いコシを出すこともあります。
③製麺のしやすさについて。
そば粉十割はやはり生地が破れやすいです。水とつなぎを加えることで、破れにくく伸ばしやすくなります。まさしく“つなぎ”です。
一言につなぎと言っても、様々な使い道があります! つなぎを入れるから安く仕上がるというネガティブ要素ではなく、色々なプラスの要素があるから使用しているのです。
-水の話が出ました。手打ちと機械打ちでは水の分量も違うのですか?
違います。通常、そば粉に対して手打ちなら45~50%前後、機械打ちなら35%前後でしょうか。機械打ちが少ないのは、水分が多過ぎると生地が柔らかくなりすぎて麺になりにくく、機械(ロール)を通過するにも時間を要するから。そして日にちが経っても麺の品質劣化を防ぐ役割もあります。
-手打ちと機械打ちの違いは?
手打ちは職人さんの思いや個性が、ダイレクトに味に伝わってくる「料理は心」という感覚があります。手打ちならではの食感・ざらつき・麺の透明感に加え、包丁切りならではの少し不揃いな麺が、噛み心地の愉しさも演出してますよね。
機械打ちは、均一な麺が特徴です。当社では、いつどこで食べても美味しく感じるよう、粉の配合・製麺方法をレシピ化し、職人さん以外でも製麺が出来るよう仕組化しています。あとは、職人さんがそばに思いをぶつけているように、私たち製麺所も心に響く麺が作れるかどうかが腕の見せ所ですね(笑)。
-宗近さんでは、すべて機械打ちですよね?
いいえ。実は、かなり手打ちに近い製法の商品もあります。
当社の通常ラインでは1時間に約1000食を製造していますが、手打ちに近い製法は1時間に250食くらい。人の手を使う工程がかなり多いので、明らかに効率も悪いです。ちなみにこの製法は、私が一般的な製麺理論を無視して勝手に編み出したもので、全国でも珍しいケースです。
先日、人手不足・労力に限界を感じている店主が当社に相談に来て、「自分で打たなくても、この味なら十分いける!」と、このそばを絶賛! 切り替えていただきました。
手打ちそば屋さんが納得するほどの高品質に、自信をもっています。そして、この手打ちに近い製法が麺づくりの想いをより強く伝えてくれるのではないかと感じているところです!
-なるほど。そばの様々な“いろは”、ありがとうございました!
暖冬とはいえ、2月は底冷えする季節です。そんな寒さを温めてくれるのが、あったかい麺料理。次回は中華麺、専務と縁の深い中華料理屋のお話です。ご期待ください。
宗近製麺(むねちか)
【住所】福井県越前市北町45-63-1
【電話】0120-22-3139
【時間】10:00~17:00(日曜、祝日除く)
【HP】あり
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