月刊ウララ8月号特集『街はどうなってどう変わる?』新しい生活が動き出す

2020/08/08

これからの観光は鉄道!マイクロツーリズムにシフト。
鉄道業界

県が提案した「ふくいdeお泊りキャンペーン」は、予想以上の申し込みがあり、申し込みスタートからわずか2日で達してしまったなど、旅への人々の欲求は非常に高まっている。このキャンペーンで福井の人が福井を知るきっかけになり、福井の人が福井のことを好きになる、そして県外の知り合いにおススメする、ということになることを期待もしている。

この機会に定着しつつある言葉がある。「マイクロツーリズム」だ。これは車で1時間以内での地域を旅するスタイルとして星野リゾートが提唱したもの。感染防止と地域振興を両立できる新しい旅のあり方とも言える。そしてこのマイクロツーリズムは福井と親和性が高いという人もいる。『日本旅行ワールド』の大沢正美さんは30年のキャリアを通じて感じていることがある。

「福井には東尋坊や永平寺、恐竜博物館に一乗谷朝倉氏遺跡など、素晴らしい観光地があります。しかしながら、それらを一つにつなぐ“キーワード”が存在していないんです。金沢は“加賀百万石”という武家社会をキーワードに観光地が整備されています。だから観光地としてわかりやすいし、打ち出しやすいんです。でも、これからの旅のあり方はマイクロツーリズムにあるように、もっと小さな、自分で見つけていく旅が増えていくと思います。それぞれの中心にこれまでの観光地があって、その周囲に観光地に関する名もなき観光地を見つけるというか。福井はそれがしやすいと思いますよ」。

統一テーマがないからこそ、さまざまな顔の福井があり、それぞれの旅のスタイルがある。考えてみれば1億5千万年前から現代まで、それぞれの時代の歴史が福井には点在している。そう考えると、福井の楽しみ方はまた深まりそうだ。

そのマイクロツーリズムに最適なのが鉄道だろう。JR、福井鉄道、えちぜん鉄道、地域の間を走る鉄道だからこそ、何もないと思われた場所に自分の心に刺さる観光地があったり、そこで出会った人の触れ合いがあったりする。地域鉄道とマイクロツーリズム、両方持つ福井は新しい旅のあり方のトップランナーになれるかもしれない。

日本旅行ワールド
【住所】福井県福井市米松1-15-41(米松店)
【電話】0776-53-3003
【時間】9:30〜18:30(土・日曜日、祝日は10:00〜18:00)


検索エンジンを超える人の味。個の力の強さを感じたSNS。
#頑張ろう福井グルメ

以前からSNSを多用し、自分の店を発信し続けてきた『天膳』の天谷健二さんは、自粛期間中に児童館に弁当を寄付したことで意識が変化したという。「嬉しい反応をたくさんいただきまして。やっぱりコミュニティは大事だと思ったんです」。コミュニティは共有が生まれ、安心が生まれる。だから飲食店が厳しい状況下に陥ったとき、すぐさまSNSで「#頑張ろう福井グルメ」コミュニティを立ち上げた。「飲食店は待ったなしの状況でしたから、リアルタイムに届けないと、と思ったんです」。その影響力はすさまじく、複数のSNSで2万人もの人が繋がり、1万を超える投稿が寄せられたのだ。

落ち着きを取り戻し始めた今、感じることがある。「“個”を信じていい時代なんだ、って。何かを始めようとしたとき、SNSを通じて個の力を結集すればできるのだし、みんなで力を合わせれば、この福井をもっと魅力的に伝えることもできると思います」。今回の取り組みで多く寄せられた意見が“入るのに勇気がいると思った店でもテイクアウトだから入ることができた”ということ。それを後押ししたのは投稿に寄せられたユーザーの声。元々が利用者の声が多くなるコミュニティを作ろうとしていたから、市場は活性化したのだ。

「だからこそ、コミュニティを大事にしてきたことで自粛明けにお店の売上が伸びた、という実例も出ています」。店と客、お互い顔が見えるからこそ信頼ができ、その信頼が生み出す“脳内検索”はウェブサイトの検索エンジンを凌駕していく。「間違いなく脳内検索は何よりも強いと思います」。“人”もその店の“味”なのである。


世界が禅に求めたのは、自分に向き合う方法。
大安禅寺

「自分たちのやっていたことは不要不急の案件だったのか」と、5000人もの観光客がキャンセルとなった大安禅寺。副住職の髙橋玄峰さんは畑仕事に精を出し、坐禅を組む日々の中、臨済宗青年僧会の仲間うちで始めてみようかとスタートしたのは“オンライン坐禅”だった。「元々坐禅を動画で配信しようと、3月に1度だけアップしたことがあるんです。周囲の人がそれを見てくれていて、仲間から『zoomでやらないか』と」。

一方的ではないので顔が見える中、参加者はzoomにつなぎながら、それぞれの場所で坐禅を組む。zoomで静寂という、奇妙な光景にも見えるが、これが時代にマッチしたのである。全国の僧侶がそれぞれの法話をすることで、参加者はいつもとは違う話を聞くことができると高評価。全国はおろか、世界中からも参加し、現在述べ約6000人が参加している。

“Stay Home”とは、いわば自分と向き合う時間でもある。しかしどうしていいかわからないという人も多かったという。その求める先が坐禅だったのだ。坐禅とは自分にまとわりついている思想や価値観をすべてそぎ落とし、座布団の上にただ座る。何の意識も持たず、ただあるがままを受け入れ、そして流していく。やがて自らの呼吸を感じていく。そこで自身の“通常”に戻るという。「そこには“無意味”という時間が流れているのですが、その時間を過ごすことで本来の自分の意味を知ることになります。坐禅は目的ではありません。その中で自分を工夫し、生活に生かしていくことなのです」。

大安禅寺単体でも始めることとなり、毎週日曜日の朝6時30分から15分の坐禅を2回と15分の法話というプログラムを組んでいる。今は実地での坐禅も再開したが、オンラインも同時に開催。今ではリモート配信も行ない、画面の向こう側の人たちも一緒にいる感覚を覚えていく。「リアルタイムであることにぬくもりを感じます。相手の音も聞こえていくとそれが肌感覚で一緒にいるような気分になるんです」。

坐禅は寺で行なうこと、それが当たり前のことであって、疑う余地もなかった。しかし、オンラインでも時間を共有できる。「これまでどれだけ自分たちが考えを放棄していたか、ということを痛感しました」。“オンライン坐禅”は世界にも通用するツール。今後ヨーロッパへも発信していくという。福井から世界へ。禅は海を軽々と越えていく。

月刊ウララ8月号(582円+税)は『真夏に恋しくなる、おとなのアイスコーヒー。』。また今、気になる場所・ヒト・コトをご紹介する『What’s Hot』もお見逃しなく。書店、コンビニ、通信販売で好評発売中です。ぜひご覧ください。



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#地域ニュース#月刊ウララ

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