福井が舞台の青春ラブコメ!『千歳くんはラムネ瓶のなか』がこのライトノベルがすごい!で2年連続1位に! 著者裕夢先生インタビュー

2021/11/26

毎年11月に宝島社より発刊されるライトノベルのガイドブック『このライトノベルがすごい!』(以下:このラノ)。今、最も熱いライトノベルが紹介されるこの本では、その年1番好きだった作品や好きな男性・女性キャラクター、イラストレーターなどがランキングにて掲載されます。 まさに1年を締めくくるライトノベルのお祭りなのです!

『千歳くんはラムネ瓶のなか』1巻・5巻(特装版)
著/裕夢 イラスト/raemz 発刊/小学館ガガガ文庫

そして先日発売された『このライトノベルがすごい!2022』にて、栄えある1位に輝いたのが、福井出身のライトノベル作家・裕夢(ひろむ)先生の『千歳くんはラムネ瓶のなか』(以下:チラムネ)。これはなんと2021年に続き2年連続、デビュー作としては史上初という快挙なのです!



ファンから“チラムネ”の愛称で呼ばれる『千歳くんはラムネ瓶のなか』は、福井県内にある架空の高校、「藤志(ふじ)高校」を舞台に描かれる青春ラブコメ。主人公の千歳朔(ちとせさく)は学校裏サイトで叩かれながらも校内の“スクールカースト”トップに君臨する、いわゆる“リア充”。

ラノベ作品にはあまりない斬新な設定が目を引く本作ですが、恋愛、進路の悩みなど、高校生ならではのドラマをリアリティ抜群に描くストーリーが読者の心を鷲掴みにしました。

また、主人公・朔は、リア充という設定でありながらも、自分の信念にまっすぐに生きる魅力的なキャラクターとして描かれています。周囲には分け隔てなく優しく接し、困っている人がいれば助けずにはいれないという姿は、読者からも支持されていて、このラノの男性キャラクターランキングでも2021は4位、2022では2位となっています。

そして、チラムネ作者の裕夢先生が先日、故郷の福井へ凱旋しました。

まず、2年連続受賞について、
裕夢:「嬉しいというという気持ちはもちろんですが、今年の対象となった5、6巻では従来のチラムネとは異なる物語の描き方に挑戦したので、それがまた読者の皆様に届き、評価していただけたということが分かって少しホッとしています」

昨年初めて1位になってから、2年連続を狙う!という気持ちで執筆していたとのことで、今年も1位の発表を受けて胸を撫でおろし、安堵した様子でした。この勢いで3連覇も?

裕夢:「あまりこのラノを意識しすぎて強引に派手な展開を突っ込んだりすると本末転倒なので、彼ら彼女たちの物語と向き合い、まずはシリーズ後半のスタートを真摯に綴っていきたいと思います」

そんな謙虚な雰囲気でコメントをくださった裕夢先生ですが、『千歳くんはラムネ瓶のなか』でデビューする前は編集者・フリーランスのライターとして働いていたとか。
では、ライトノベル作家としての裕夢先生はどのように誕生したのでしょうか?

裕夢:「チラムネは仕事をしながら、オフの時に書き貯めていたわけじゃなくて、構想も含め約3週間で一気に書いたんです」


さ、3週間⁉ 驚くほどの速さ。さらに、

裕夢:「書き上げたタイミングで、たまたま一番近くに締め切りがあったのが『小学館ライトノベル大賞』だったんです。それであまりレーベルカラーなどを意識せずに送ったら優秀賞に選んでいただけて、デビューが決まりました」

と、あれよあれよと話が決まっていったとのこと。なお、最初のタイトルは「千歳くんはラムネ瓶のなか」ではなく、改題前は「ラムネ瓶に沈んだビー玉のなか」。



しかし、3週間で描いたとは思えないように、キャラクターたちの会話や心理、情景の描写が巧みでリアリティ溢れるストーリーとなっています。

裕夢:「情景の描写は実際に足を運んで情報収集を行うだけじゃなくて。思い出のなかにある福井の風景や美しいと感じた瞬間を取り出して作品に落としこんでいます。ストーリーの肝となる学校のことは僕が実際に体験したことではなく、あくまでチラムネに登場する彼ら彼女たちの物語として描いています」

これも驚くことに、チラムネの世界観は裕夢先生が描く想像の世界なのだとか。しかし、あまりにリアリティー溢れるストーリー描写なので、実は裕夢先生の体験談なのでは、と気になって聞いてみましたが、そこも

「違いますよ(笑)」

とキッパリ。登場人物の1人である“蔵セン”も完全なる架空の登場人物。でも、イメージでここまで描けるなんてある意味スゴイ……。

現在は東京都内在住で、長年福井を離れている裕夢先生。今回、約2年ぶりに本作の舞台でもある故郷に帰って来て、改めて福井の良さにもいろいろと感銘を受けた様子。

裕夢:「福井の人たちはいい意味で生き急いでないというか、“のんびりやろっさ”という雰囲気なのが大好きです。現代はリモートで打ち合わせもできるし、作家はどこでも仕事ができるから、ゆくゆくは福井に帰るのもいいなと思っています」

人と人との深い繋がりや、迎え入れてくれる温もり。そして、福井のソウルフード『8番らーめん』や『ヨーロッパ軒のソースカツ丼』の美味しさにも感動したみたいです。

コロナ禍によりノマドワーカー、リモートで仕事をする人が増え続ける昨今。裕夢先生が福井に帰って来る日は近い?

『千歳くんはラムネ瓶のなか』1~6巻 
著/裕夢 イラスト/raemz 発刊/小学館ガガガ文庫

なお、チラムネは小学館ガガガ文庫より第1~6巻まで発売中。各巻でストーリーの要となるヒロインが変わり、ファンの間では「新巻が出るたび“推し”キャラ変わる」といわれています。どのキャラにもスポットを当てる巧みな人物描写、本作のイラストを担当するraemz(レームズ)先生のイラストもあってどのキャラクターも本当に魅力的なんです。
最後に、裕夢先生にも推しキャラを聞いたところ、

裕夢:「いつも言っているんですが絶対的な“箱推し”です(笑)。彼らの物語を描く著者として、僕に推しキャラがいたらダメだと思っています」

との回答でした(笑)。

高校生はもちろん、大人も青春時代を振り返りながら楽しめる青春ラブコメディーです。まだ、読んでない人はぜひ手に取ってみてくださいね。

『このライトノベルがすごい!2022』2連覇を記念し、raemz氏が描き下ろした特別イラスト

千歳くんはラムネ瓶のなか
1~6巻発売中
箸/裕夢 イラスト/raemz 発刊/小学館ガガガ文庫
【HP】あり(小学館ガガガ文庫)
【SNS】Twitter



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#人物#インタビュー#エンタメ

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