日々URALA(ウララ)

月刊ウララ12月号特集から『食のまち、小浜へのグルメ旅。』をご紹介!

よっぱらいサバを味わいたい

若狭湾の絶景とともに味わう、 小浜の新しいブランド「よっぱらいサバ」。 新鮮だからこそ、お造りで召し上がれ。

海幸苑
小浜市田烏で育った新鮮な「よっぱらいサバ」をお昼時に。お酒のあてにその味を堪能する人もいるそう。「小浜よっぱらいサバ一匹姿造り盛り」2400円

その日の朝、水揚げされた「よっぱらいサバ」のお造りは、生臭さが全くなく、ほどよく身が引き締まったコリっとした食感が特徴。一口ほおばると、ほんのりと甘さが広がる。

まるごと一匹の姿造りを、誰かとシェアしてほかほかのごはんと食すのも良し、日本酒や焼酎で「よっぱらいサバ」とのマリアージュをチビチビ味わうのも良し。ちょっと物足りない時は、小浜でとれた肉厚な穴子の天ぷら、日替わりの焼き魚や煮魚などの一品メニューをプラスして、若狭湾の恵みを存分に満喫するのもおすすめだ。

日本海の海の幸を楽しめる『海幸苑』で「よっぱらいサバ」を提供し始めたのは、今年6月のこと。養殖の生産量が安定してきたため、一尾300g前後の新鮮な鯖が毎日手に入るようになった。「ブランドサバがようやく地元でも提供できるようになったのは、うれしいです」と、店長の前原さん。「よっぱらいサバ」を目当てに小浜を訪れ、この店に足を運ぶお客も多い。

県内外から観光客が訪れる観光施設にあるお店だけに、このブランドサバを用いる次の一手として「お刺身だけじゃない新しい味わいや楽しみ方も提案できたらいいですね。例えば、人気の鯖寿司を「よっぱらいサバ」で作ってお土産にしてみるのもおもしろそう」と、語る前原店長。小浜から誕生した新たな観光資源としても話題性十分の食材だけに、次なる展望が待ち遠しい。

若狭湾が目の前に広がり、その風景は時間によって表情を変える。そんなオーシャンビューを横目に「よっぱらいサバ」をはじめ、近海でとれた魚介類がずらり。また、1月初旬から3月にかけて、カキ小屋も営業予定

海幸苑
【住所】福井県小浜市川崎1-3-2 若狭フィッシャーマンズ・ワーフ内
【電話】0770-52-3111
【時間】11:00〜15:30(15:00LO)
【休日】無休(12月31日、1月1日のみ休業)
【席数】300席
【駐車場】150台
【HP】あり


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小浜の食文化を目と口で味わう

豊かな海の幸に恵まれた小浜では、世代を超えて受け継がれてきた食文化も魅力のひとつ。その多彩な調理法や味わい方に驚くことなかれ。

「鯛そうめんと季節の混ぜご飯定食」1100円(税込)。甘口の醤油で煮付けた連子鯛がメインながら、その鯛の旨味が染み出した贅沢な煮汁で味わうそうめんもまた絶品。組み合わせは、季節の食材を使った混ぜご飯と小鉢、香物、みそ汁がついた「一汁三菜」での提供。数量限定のため、週末などは早い時間帯に終了することも

小浜といえば鯛も代表的な魚のひとつ。地元では特別な日のごちそうとされてきた「鯛そうめん」が運ばれてきた瞬間、その華やかな盛り付けを前に自然と心が踊る。

すぐ目の前には穏やかな海と山並みが広がっていて、『御食国若狭おばま食文化館』にもほど近い場所にあるお食事処『濱の四季』。ここでは甘口の醤油をベースに、昆布と鰹の2種類を使った出汁が食材の味を引き出し、引き立てている。じっくりと煮込んで提供している20センチほどの連子鯛はまさにご馳走。そして、鯛の旨味が染み出した煮汁とともに味わうそうめんの美味しさもまたひとしおだ。

醤油の香りが漂って 焼き上がりを待つ間、 食欲が増幅中!

そして古くから小浜の日々の食卓に欠かせない存在の「醤油干し」は、鯖をはじめとした7種類の魚から選ぶ定食スタイルで。干物といえば塩干しやみりん干しをつい思い浮かべがちになるものの、ここ小浜では醤油干しこそが一般的だという。グリルしていると店内には食欲をそそる香ばしい香りが漂い始めて、口に入れた瞬間、旨味が広がる至福のひと時が訪れる。

この味を求めて県外から繰り返し訪れる観光客の姿を見てきた『濱の四季』の西本一郎さんは「やっぱり小浜の醤油干しの技術はピカイチだね。(醤油干しは)ソウルフードのような存在でインパクトも十分」と、にやり。そんな西本さん一押しの魚はしっとりとした脂が人気で、身がほろりと食べやすいカラスガレイだそう。

そのほかにも去年の夏から提供を始めた「若狭のぐじ御膳」、鯖を使った3種類のメイン料理をそろえた「鯖街道御膳」、最近では「よっぱらいサバ」の刺身を付けたメニューが加わるなど、こちらの店では魚がまさに主役級として抜群の存在感を放っている。

濱の四季
【住所】福井県小浜市川崎3-5
【電話】0770-53-0141
【時間】平日11:00〜14:30(14:00LO)
土日祝11:00〜14:30(14:00LO)、17:00〜20:30(20:00LO)
【休日】水曜(祝日の場合は営業)、年末年始
【席数】70席
【駐車場】あり
【HP】あり


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地元のお魚は 地元の鮨屋で

豊かな漁場で育まれた天然の恵みの数々。親子2代の知恵と技でその魅力をお鮨に。シンプルかつ奥深い和食の文化に触れる。

若大将のおススメは小浜の代表的な魚でもある「連子鯛」。桜色の肌をもつ美しさ。淡白ながらも締まった身に、柚子がアクセントに

リアス式海岸と複雑な天然礁に囲まれる若狭湾は、温度差のある海水が混じり合うことでプランクトンが多く、日本でも有数の豊富な種類の魚介類が水揚げされる。その数は年間の水揚げで400種類にも上るという。

小浜市広峰に店を構える『すし処 鮨富』は、親子2代で切り盛りするまちのお鮨屋さん。大将の島川捨義さんは滋賀県の出身で、鮨屋を開きたいと考えた折に小浜に住む親類から「小浜の魚は豊富で美味しい」と勧められ、移住を決断したそう。

以来、37年近く地元の天然モノにこだわってネタを提供してきた。「せっかく素晴らしい産地が目の前にあるんやから、天然を食べてもらわんとね」と捨義さんはそこか自慢げな表情で話してくれた。

「鮭の親子ちらし」は、イクラ本来の旨味が引き立つ上品な味。

「鮨富」の味に幅が広がったのは4年前のこと。息子の陽平さんが若大将としてカウンターに立つようになった。19歳から三重県の寿司屋で6年間修行し、小浜に戻ってきた。「こっちに帰ってきてまず驚いたのは、鯵や鯖の芳醇な甘みでした」。

以来、陽平さんは自分の目でネタを仕入れられるように毎朝市場に赴き、仲買い人と一緒に魚を買い付けている。「最近は漁場の環境も変化していて、昔の『旬』の定義が通用しなくなっています。だからこそ、自分の目で1匹1匹の旬を見極めたいですね」

のれんを受け継ぐ2代目として、「少しでも寿司文化を知ってもらい、小浜の魅力を伝えていきたいですね」と意気込む陽平さん。その姿を見守る捨義さんの関係性も垣間見える『鮨富』は居心地がいい。

鮨富
【住所】福井県小浜市小浜広峰83-1
【電話】0770-53-0337
【時間】正午〜14:00(13:40LO)、17:00〜21:00(20:40LO)
【休日】月曜
【席数】26席 
【駐車場】3台
【SNS】Instagram


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