コト消費の時代はもう古い。これからのインバウンドは“タメ消費”だ|生活藝人・田中佑典

2020/02/14

「インバウンドの在り方として、今の時代、モノ消費からコト消費、つまり記憶に残る“体験”のほうが外国人の興味を引く。だからこれからは、その体験ごとを中心にものごとを考えていくべきだ」。

これは全国的にも福井県においても紛れもない事実であり、観光地で購入する魅力あるお土産よりも、自分で打った蕎麦、自分でろくろを回して作った器の方が彼らには受ける。


そう思っている人も多いだろう。しかし…

「モノ消費もコト消費も結局は用意されたコンテンツの“消費”。どこかで限界がきます。僕がいま実践しているのは、次なるステップ“タメ消費”です。」

と語るのは福井県出身で自称“生活藝人”の田中佑典さん。

田中さんは約2年前、福井と台湾の架け橋になればとカルチャー誌「青花魚(サバ)」を刊行し、その中で「2、3日の観光よりもっと深く、だけれど1ヶ月の移住まではいかない旅」=“微住”という言葉を生み出した。実際、福井の密な生活を紹介した同誌は台湾人が福井に微住し、制作が行なわれた。

それからこれまでの間、自身で提唱した“微住”をアジア各国で実践した彼が提唱する新たなインバウンド、「コト消費の次なるステップ“タメ消費”」とはなんなのか。


インバウンドの現状


前述の通り、全国的にインバウンドの傾向はモノ消費からコト消費へと変わりつつあり、その影響もあって、訪日外国人数は年々増えている。今年は東京オリンピックも控え、視界は明るい(ように見える)。

一方、福井県はどうだろうか—。

ご存じの方も多いだろうが、実は、訪日外国人数の福井県訪問割合はかなり低い。外国人の興味を引きそうな「座禅」や「焼き物づくり」「紙漉き」など、地域に根付く伝統あるコト体験が数多くあるにも関わらずだ。

要因はPR不足やアクセス面など、さまざまなことが考えられるが、田中さんが話しているのは、それらを整備しようという話ではない(もちろん整備する必要はあるが)。

現在は“モノ消費からコト消費”というところに落ち着いている、インバウンドの根本的な在り方についてである。



田中さんが考える
“インバウンドの在り方”とは


1.一期一会ではなく、“一期三会”を。

「単語的に言うとタメ消費です。モノ、コトときてタメ。これは何かのタメにする、誰かのタメになる、のタメです。」

一体どういうことなのか、どのようなインバウンドに繋がるのか—。

先ほども述べたが、コトでもモノでも結局は誰かに与えられたコンテンツの消費。

海外の方はそれを消費してものごとを完結させる。しかし完結したものごとが再度動き出す、つまり、その海外の方が別の方を呼び込むという可能性は低い。

なぜならその大半が自分のタメにそのコンテンツを消費していて、そこから、「誰かを呼び込む、もしくはもう一度そこに足を運ぶ理由」が生まれていないからだ。

「旅でよく聞く言葉に「一期一会」があると思います。一生に一度の出会いという意味ですが、それだとその一瞬の盛り上がりで完結してしまいます。僕が目指すのは「一期三会」以上の関係、「ありがとう! じゃあ、また」という一生携いあえる関係づくりです。」

すると次なる疑問としては、どうやってその関係を作っていくのか。である。

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これから福井は変わる。これが福井発祥のインバウンドだ。

#人物#インタビュー

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