月刊ウララ10月号特集よりじっくりと何度でも訪れたい『大人ハマる ローカル・ミュージアム』

2020/10/07

縄文土器のデザイン

若狭三方縄文博物館

縄文時代(約1万6000年前~約2400年前)

縄文プロムナード
照明と音響で深淵なる縄文世界を表現。象徴となる、岩手県田野畑村で出土した縄文時代晩期の遮光土器(レプリカ)。

「縄文土器と一口に言っても実はいろいろなんです」

若狭三方縄文博物館の「縄文プロムナード」を抜けて「土器の径(みち)」と名付けられた展示室へ。そこには若狭町内で見つかった縄文時代の土器33点が年代順に並べられていて、展示を眺めているだけで縄文人の芸術性と精神性が伝わってくるようだ。
「おそらく多くの人が“縄文土器”と聞いてイメージするのは、燃え盛る炎のような装飾が施された“火焔土器(かえんどき)”と呼ばれるものではないでしょうか。実は残念ながら若狭町ではそうした立体的なデザインの土器はほとんど出土していません。しかし、表面につけられた模様が非常に緻密で芸術的なのが若狭町で見つかった縄文土器の特徴であり魅力のポイント。ぜひ間近でじっくりと鑑賞してほしいですね」と学芸員の小島さんは説明する。
県内最古の縄文土器の上部には竹串で開けたような穴が規則的に並び、下部は人間の爪で押したような模様でぎっしりと埋め尽くされている。「縄文人はとにかく模様や装飾で空間を埋め尽くすのが好きだったようです」(小島さん)。若狭地方で出土する土器は他の地域より白いものが多く、煮炊きをした焦げ跡も見て取れる。時代を経るにつれて口の部分が五角形や六角形のものが出てきたり、深さの浅いものがあったりと、形や装飾の変化を見比べてみるのも面白い。
「専門家による研究では、土器の模様や形は制作者の自由なアートではなく、村や地域のルールにのっとって作られた方言のようなものだとされています。縄文土器は集団に属した村人たちが次の世代につなぎ伝えるための一種の表現手段であり、大切なコミュニケーションツールだったのではないでしょうか」。  
小島さんによると、縄文土器は日常の煮炊きや食品の貯蔵といった用途以外にも、住居の玄関前の地中など、わざわざ上を通らないと出入りできないような場所に埋められていたものもあり、呪術的な意味合いを持つ使い方もされていたのではないか、とのこと。
主に女性が作り伝えたとされる縄文土器。驚くほど多彩なデザインや形状を前に、当時の人たちの思いやその息づかいが伝わってくるようだ。

土器の径(みち)
縄文時代の草創期から晩期まで、年代が古い順から縄文土器が並ぶ。展示は、縄文土器と必要最小限の説明文のみ。美術館のような空間で、時間の経過とともに変わっていく土器の形状やデザインを鑑賞することができる。


鉢(複製品)
県内最古となる約1万3600年前(縄文時代草創期)の土器。上下とも緻密な模様でおおわれている
□ 時代:縄文時代草創期(約13600年前)
□ 出土:鳥浜貝塚
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館

深鉢(ふかばち)
同じ縄文土器でも色合いの違いがみられる。写真はちょっと色白美人の印象を受ける縄文土器
□ 時代:縄文時代前期(約5800年前)
□ 出土:鳥浜貝塚
□ 所蔵:福井県立若狭歴史博物館

深鉢(ふかばち)
ごつごつした大振りなものだけでなく、手のひらに乗るぐらいコンパクトサイズのキュートな土器も
□ 時代:縄文時代中期(約5500年前)
□ 出土:北寺遺跡
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館

深鉢(ふかばち)
過剰な装飾が施されていて、通常模様が入らない部分にまで細かく模様が入っている異色の縄文土器
□ 時代:縄文時代後期(約4100年前)
□ 出土:北寺遺跡
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館

深鉢(ふかばち)
時代によっては五角形だったり、六角形だったりと、変則的な口の形をした土器も出土している
□ 時代:縄文時代後期(約4400年前)
□ 出土:北寺遺跡
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館

底部穿孔(ていぶせんこう)浅鉢(埋甕)
底が深い、縦長の土器が目立つものの、中には底が浅い鉢も出土している
□ 時代:縄文時代後期(約4300年前)
□ 出土:北寺遺跡
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館

底部穿孔(ていぶせんこう)深鉢(埋甕)
土器の底の部分に穴をあけたものは煮炊きには使えないため、祭祀や呪術的な用途があったものと考えられる
□ 時代:縄文時代後期(約4200年前)
□ 出土:藤井遺跡
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館

深鉢(ふかばち)
弥生時代に近づくにつれて模様や装飾は控えめになり、シンプルな土器が多く出土するようになる
□ 時代:縄文時代晩期(約2800年前)
□ 出土:ユリ遺跡
□ 所蔵:若狭三方縄文博物館



若狭三方縄文博物館
鳥鳥浜貝塚の発掘調査の成果や、水月湖の年縞、環境考古学との関係性などを紹介する考古学博物館。常設展示のほか、体験講座、講演会などさまざまな角度から縄文文化を発信。縄文文化を建築的に表現した建物も見どころ。

【住所】福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1 縄文ロマンパーク内
【電話】0770-45-2270
【時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休日】火曜(祝日の場合は翌日、GWと夏休み期間中は無休)
【料金】一般500円、小中高生200円(年縞博物館との共通券 一般700円、小中高生280円)
【駐車場】あり
【HP】あり

【特別企画展「シマシマが語る46億年の歴史」】
福井県年縞博物館との共同開催。若狭三方縄文博物館では「縞模様でたどる日本人の歴史」をテーマに、日本の歴史や技術の発展を示す、縞模様をもつ道具類(民具、衣類、装飾品など)を紹介。11月23日(月・祝)まで

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#エンタメ#地域ニュース#月刊ウララ

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