2020/10/07
1億年以上前、福井の大地を闊歩していた恐竜たちの姿(全身骨格)を前に興奮気味の子供たち。その隣にいる大人も思いのほかテンションが高く、目を輝かせていたりする。
ミュージアムという場所を訪れると、知っているようで知らない世の中の広さを思い知らされる。と同時に、忘れていた好奇心がよみがえってくる。
理解するのに時間がかかっても焦ることはない。
地元にある「ローカル・ミュージアム」は、何度訪れてもいいのだから。
中生代(約2億5000万年前~約6600万年前)
恐竜王国福井の幕開けは1982年。この時、現在の恐竜化石発掘地である手取層群から最初に見つかったのは、恐竜の化石ではなく、ワニ形類の全身骨格。この地層から白亜紀の脊椎動物の化石が産出することが判明した。
勝山市北谷町にある恐竜化石発掘現場は、手取層群北谷層と呼ばれている。
今から約1億2000万年前の中生代・前期白亜紀に形成されたと考えられていて、当時この辺りには河川や湖などが広がっていた。
砂や泥が溜まってできた地層には、様々な種類の化石が保存されていた。福井県立博物館(当時)が1988年に予備調査を実施したところ、肉食恐竜の歯などを発見。さらなる恐竜の発見に期待が高まり、翌1989年から本格的な発掘調査事業を開始してから現在までに、恐竜をはじめとする多数の脊椎動物の歯、骨、足跡等の化石を採取。その数は日本で発掘された恐竜化石の大多数を占めている。
さらに中生代の新種の鳥類「フクイプテリクス・プリマ」をはじめ、翼竜類、小型動物の足跡、植物など多数の化石を発見。生物の多様性を育んだ豊かな自然環境が浮かび上がってくる。
薗田研究員が専門とするカメ類の化石も数多く発見。「北谷の発掘現場で恐竜に次いで多く発見されている爬虫類がカメです。カメは多様性が高く、現在も生息しているスッポン類の化石も見つかっているので、当時、恐竜がどういう環境に棲んでいたのか、気候からどんな影響を受けたのか、などカメの研究からアプローチできます」と、専門性を生かした研究から恐竜の謎に迫っている。
展示「福井県の恐竜」
博物館の1階にある展示「福井県の恐竜」では、これまでに発掘された恐竜の実物化石を見ることができる。恐竜以外の動植物の化石や、当時の環境を再現したジオラマもあり、福井の恐竜時代を学ぶ貴重な空間となっている
「ダイノストリート」
常設展示への入り口となる地下1階のダイノストリート。トンネル状の廊下が続き、その両側には目線の高さに実物化石が埋め込まれている。美術館のような空間で、自然が生み出した化石の造形美に圧倒されるはずだ
福井県立恐竜博物館
2000年7月に開館した地質古生物学専門の博物館。館内には44体もの恐竜全身骨格をはじめ、化石やジオラマ、大迫力の復元模型等を多数展示。北谷町杉山の発掘現場近くにある野外博物館では発掘体験(予約制)もできる。
【住所】福井県勝山市村岡町寺尾51-11
【電話】0779-88-0001
【時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休日】第2・4水曜 7観覧料/一般730円、
【料金】高校・大学生420円、小・中学生260円
【HP】あり
※現在は予約・入替制
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