【麺 to the future|宗近製麺】
2022/05/21
――お二人が最初に手掛けたパッケージデザインは何でしたか?
宗近:「三代目宗近そば」の1人前のパッケージです。アバンギャルドでサイバー的、CDジャケットっぽくて、とにかくカッコいい!
山内:“高級感”というリクエストに加え、宗近さんのCDジャケットで使用した赤と黒を組み合わせました。そこにゴールドを加えることで、よくある和風なデザインではなく質感も感じられるようにまとめました。

大村:いくつか手掛ける間に、宗近そばのベースデザインは出来てきましたよね。それをベースに、いろいろな人に手にとってもらえるような、時代が変わっても普遍的なデザインであるようなデザインを心がけています。
山内:どこかにエッジが立つような特徴を持たせること、そして人の目に留まる要素を入れるようにしています。
宗近:どのデザインも好きなんですが、中でも「中華そば」はとても気に入っています。高級路線ではなく、昔ながらの感じでありながら洗練されたイメージもある。先ほど大村さんがおっしゃっていた“普遍的”な部分がある。私の手書きの指示書が、こんな風に上がってくるって、本当にすごいなぁと。
大村:「中華そば」は私が担当しました。打ち合わせの時に、“レトロ感”というキーワードをいただき、レトロだけじゃないレトロフューチャー的なデザインを考えました。色は赤をベースに太麺を青、冷やし中華を緑に展開。あまり暗くならないような色を選びました。
山内:レトロだけれど古くなりすぎない、モダンでフラットな感じでまとまっている感じが良いですよね。パッケージ完成後に食べましたが、緑色のパッケージの太麺はおいしい、最高です!
大村:私は、赤いパッケージのちぢれ麺が好きですね。


――最近完成した「宗近のトリセツ」についての話を聞かせてください。
宗近:商品を売るだけでなく、お客様とのつながりをもっと大切にして、より濃いコアなファンを作りたい。人と人とのつながりを作りたいというのが、制作のきっかけです。アナログなコミュニケーションですが、それを通じて私たちを好きになって欲しいなぁと。
山内:お話しをいただいた時、深掘りしたカタログで、他にはない良い試みだと思いました。大村が担当しました。
大村:久しぶりのエディトリアルデザインで嬉しかったし、楽しかったですね。年配のお客様も見るカタログかつ、読みもの的な冊子にしたかったので、シンプルなデザインをベースにしました。そして、写真は大きめに使ったり、文字も大きく読みやすさも重視しました。
宗近:原稿は私と編集担当の稲木がライティング、とあるディレクターを起用して全体的なディレクションをお願いした後、大村さんにお渡ししました。
大村:文中、方言が多くてローカル感があるなぁと。それが宗近さんがおっしゃるコアなファンを作るための“コミュニケーションツール”であり、町に根ざしている感じを表していて、それがデザインに生かせたかなぁと思っています。
宗近:方言って、リアルな感じなんですよね。
山内:郷土の料理が分かり、それが宗近の麺で作ることもできる。レシピもあるので楽しいし参考にもなる冊子です。
宗近:おかげさまで評判は上々! “宗近家”の良いところ、アットホームな部分が表現されているのが良いという声をいただいています。

――冊子の次なる新しい試みは直営店。今年中に開店の予定です。
山内:以前から「店を出したい!」という話は聞いていて、出店時にはいろいろなツールのデザインを担当できたらと思っていました。
大村:これまで、常にやりがいのある仕事をさせていただいているので、宗近さんが何かしらチャレンジする時にはデザインで協力して、一緒に新しいモノを作り上げていける存在でありたいと思っています。
山内:「宗近」のそばは、ふるさと納税の返礼品なども含めて(Vol.8)ポテンシャルのある商品が多いので、デザイン面からでも知名度をさらに上げていくお手伝いをしていきたいですね。
宗近:もちろん、店に関するいろいろなモノを相談するつもりです。お願いします! かれこれ15年くらい一緒に仕事していて、オンラインミーティングは10数年前から導入。お二人とは“阿吽の呼吸”で、素晴らしいパートナーだと勝手に思っています(笑)。だから、これからもずっと「宗近」のデザインをお願いできる環境にいてくださいね。

アートディレクター兼デザイナー 山内貴博さん
新潟県出身。地元ではへぎそば(Vol.3)が有名。「宗近」では「三代目宗近そば 太打ち」と「中華そば 太麺」がお気に入り。「へぎそばに比べて香りがあって、食感も楽しめる。辛味大根をすりまくって味わっています!」
デザイナー 大村潤さん
長野県出身。言わずと知れたそば王国で育ち、「宗近」で初めて福井のそばの存在を知る。「福井にもこんなにおいしいそばがあることに驚きました」
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